世界初のスキージャンプ映画「国家代表」

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 いやあ、びっくりしましたよ。

「世界初のスキージャンプ映画『国家代表』、30日全国ロードショー!」

「登録選手7名、うち4名が国家代表……。韓国スキージャンプ国家代表チームが巻き起こした、感動的な実話を映画化!」

 な、なんだか、カンチルグたちが映画になってるんですけど……。

 ここ何年かはご無沙汰しているが、韓国のスキージャンプ国家代表チームとは、10年近い付き合いがある

 当時も今も、韓国におけるスキージャンプの競技人口は、7~8人。その中の、カンチルグ、チェフンチョルら4人が、国家代表チームとしてオリンピックやワールドカップを戦っている。

 競技人口の少なさと環境の貧弱さから、世界のトップ選手とは大きな実力差がある韓国チームだが、時々、信じられないような結果を残してきた。

 ひとつは、2002年ソルトレイクシティ五輪団体戦での8位。順位こそ平凡だが、ジャンプ発祥国であるノルウェーを破っての、価値ある8位だった。

 翌2003年のイタリア・タルヴィジオ冬季ユニバーシアード大会では、カンチルグを中心に金メダル2個、銀メダル1個という文字通りの大金星。さらに同年の青森冬季アジア大会の団体戦では、船木、東輝らを擁する日本を破って金メダルを獲得した。

 そんな彼らの活躍が、映画になったのだ。


↑フンチョルのジャンプシーン、「104.7km/h」って、なに?

舞台は、1996年の全羅北道茂朱。冬季オリンピック誘致のために、スキージャンプの国家代表チームが急遽編成された。

コーチに任命されたのは、子供スキー教室の講師を務めていたパン・ジョンサム(ソン・ドンイル)。そして、彼に乗せられた精鋭(?)メンバーが集まった。

元アルペンスキーのアメリカジュニア代表だったが、実の母を探して韓国に来たボブ(ハ・ジョンウ)。

女なしでは耐えられない、ナイトクラブのウェイター、チェ・フンチョル(キム・ドンウク)。

焼肉屋の息子として、毎日炭火をおこしてきたジェボク(チェ・ジェファン)。

祖母と弟の世話という重荷を抱えた、物静かな少年カン・チルグ(キム・ジソク)。

パンコーチは、ボブには母と暮らすためのアパートを、フンチョルとチルグ、ジェボクには、兵役免除を約束する。条件は、金メダルを取ること。

「ワールドカップまであと一週間。そこで6位以内に入れば、オリンピックへの出場権を獲得できる! 8チーム中6位に入ることができるのか?」

 なんだか、すでにオチが見えたような気もするが、彼らのがんばりが映画になったのなら、これはぜひにも見に行きたい。あまりヒットしそうな題材には見えないので、8月中にでも、釜山あたりに行くとしようか。

 本物のチルグに電話をしたら、つながらなかった。今、ヨーロッパのほうに留学しているという噂も聞くが、さて。

 出演は、ハジョンウ、ソンドンイル、キムジソクほか。

追記。公式サイトの予告編を見ると、どうもクライマックスは長野五輪のようですよ……。確かに、現実でも韓国代表が初めて出場したオリンピックは長野だったわけですが、長野だというのに日の丸がひとつも見えないあたり、イヤな予感がしますなあ。ついでに、白馬とは似ても似つかない競技場だったり、ジャンプスーツがどう見ても今世紀の規格だったりします。


ていうか、「空中での速度は120km/hにも達する」って、それどんなフライングヒルだよ。(実際はラージヒルで80km/h台)

おまけその2。カンチルグ対決

本物                                  映画
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コメント

  1. ハイジ より:

    はじめまして。
    3ヶ月以上も前の記事に今さら書き込むのはヘンかなって思ったんですが…
    「国家代表」で検索したら、この記事を見つけました。
    先日、キム ジソクさんのファンミでこの映画のメイキング映像を見たんですよ。映画についてもっと詳しく知りたいなあって思ったんですが、実話だったんですね。ジャンプに詳しい方々には許せない内容みたいですが、ミニシアターでもいいから日本でも上映してほしいです。

  2. かんりにん より:

    ハイジさんこんにちは。コメントありがとうございます。
    いやいや、まあエンターテインメントですから、許せないというものでもないのですが、この辺りをすぱっと割り切ってしまうのはいかにも韓国らしいです。
    リアリティはなくても、韓国でスキージャンプへの注目が一気に高まったのは事実ですから、この映画が公開されて本当によかったです。
    一応実話を元にしたということになっていますが、映画のストーリーはほぼすべて創作です。現実と近いのは、「冬季五輪招致のために、茂朱の少年(実際には中学生)が集められた」という部分だけかな。
    ちなみに、劇中の白馬ジャンプ競技場は、アルペンシアそのものでした。

  3. ハイジ より:

    かんりにんさん、こんばんは。
    早速お返事いただいて感激しました〜。
    私は九州に住んでるんですが、一回だけ白馬のジャンプ台に行ったことがあります。
    ちょうどサマージャンプの練習があってて選手の方々とエレベーターに一緒に乗ったような記憶があります。
    立ってるだけでも足がすくみました…
    映画にリアリティーが無い代わりに、突っ込みどころは満載なんですね。
    私が見た映像は、リヤカーに乗ったり木に吊されたりしてました。あれはメイキングかなって思ってたけど、本編のワンシーンなんでしようか?
    全然、話が変わるんですが、かんりにんさんのプロフィールを見てビックリしたんですよ!
    私が2年前に韓国語を勉強し始めた時に授業についていけなくて、買った本が「日本語から始める書き込み式韓国語BOOK」だったんです。
    毎日電車で付録のCDを聞いて、文字と発音を覚えました。
    数字に挫折しそうになった時もこの本で勉強しました。
    本当にお世話になりましたm(__)m

  4. かんりにん より:

    ハイジさん、こんばんは。
    白馬に行かれたことがあるんですね。足はすくみますが、見晴らしいいですよね。
    アルペンシアのノーマルヒルは、やばいですよ。コントロールタワーから、スタートゲートまでブリッジを渡るんですが、このブリッジの床が、なんと金網。遙か下の地面がよーく見えます。
    さて、リヤカーや木につるされるシーンですが……。
    合成前のメイキング映像、ではないです(笑)。
    「日本語から始める~」、買ってくださったんですね。ありがとうございます。もう3年も前の本ですが、一生懸命作りました。韓国語の勉強に、少しでもお役に立てたのなら嬉しいです。
    また遊びに来てください。

  5. あほみ より:

    こんにちはー。たった今韓国で今更の国家代表を見てきました!
    実話を元にしてると聞いて見たので、とても感動し、帰って来てからどのくらい本当の話かとネットで調べたら感動的シーンは全て作り話だと知り、かなりがっかりしました・・・。
    怪我した選手も天候のせいや、日本の運営委員のミスのように描かれていたところもちょっと・・・。
    さらに主人公のシチュエーションまで作り話だったなんて・・・。
    ここまで作り話だったら実話を元に・・・なんて書いてほしくないな~と思っちゃいました。
    鼻から実話とはほとんど話が違うとわかっていたら最後まで楽しめたのに~・・・って感じです。

  6. 栗原景 より:

    こんにちは。
    まあ、幹となるシチュエーションはだいたい事実に沿っているので、いいのでは?
    天候の件は、長野五輪で一応実際にあったことですし(怪我はしませんでしたが、原田選手が79mに落ちましたね)、運営は国際大会なので主催国とは無関係です。日本が悪い、みたいな台詞ありましたっけ。
    エンターテインメント作品としては、なかなかの出来だと思います。障害者の描写は、日本ではちょっと気まずいところもありましたが。
    ぜひ、実際のスキージャンプもご覧になってください。