卑劣な振り込め詐欺

障害児の未来、一瞬で
還付かたる「振り込め」 500万円被害

 振り込め詐欺に遭った名古屋市中村区の40代の女性が1月下旬、大量の睡眠薬を飲み、自ら命を絶とうとした。幸い一命は取り留めたが、知的障害がある息子の将来のために、こつこつと貯金してきた500万円が卑劣な犯行で一瞬に消えた。自殺を図ったのはそのショックからだった。(中日新聞)

 ひどい話だ。この被害者は、昨年癌の手術を受けていたという。だから、医療費還付を騙る詐欺師を疑わなかったらしい。

 おそらく、今も癌再発に怯えながら、決して安くはない医療費を負担して治療を受けていたのだろう。

 自分が産んだ長男の障害のために、もともと家族は大変だった。そこへ自分が癌を患い、精神的・経済的に家族に大きな負担をかけてしまった。その上、自分のせいで長男のためにコツコツ貯めてきた貯金を、一瞬で犯罪者達に盗られてしまった。自分は、もう迷惑をかけるだけの存在だ。この世にいないほうがいい。

 そう考えたのではないか。

 振り込め詐欺は、他人事だと思っていた。心のどこかで、「あれほど気をつけろって言われているのに、騙されるほうが悪い」と思っていたかもしれない。

 だが、この記事を読んで、振り込め詐欺が如何に卑劣な犯罪か、改めて思い知らされた。

 ネットではこの女性と家族を救おうという動きが出ている。新聞社に仲介を依頼しての募金活動などが検討されているようだ。

私たちにできること

 この家族に、世の中まだまだ捨てたものではない、と思ってもらえるような活動を願っている。