インスタント焼きそば、それも袋麺が好きだ。
元々、かなりの即席麺フリークだが、袋麺タイプのインスタント焼きそばこそ、即席麺の至高の存在と信じている。カップ焼きそばも面白いが、あれはやはり焼いていないという点が惜しい。
そして僕は、これまで日清焼きそば派だった。ややチープな食感のフライ麺、スパイシーでベタつきにくい粉末ソース。スーパーで百円で買ってきたカット野菜を冷凍肉かベーコンと一緒に軽く炒めておき、フライパンに220ccの水を入れて、沸騰したところで麺を「置く」。麺が完全に水に浸かっていなくてもちゃんと戻るあたり、毛細管現象というものを学べる。
さて、最近、インスタント焼きそば業界に革命が起きている。東洋水産の「マルちゃん正麺焼きそば」の登場だ。「生麺うまいまま製法」によるもちもちした麺を使った本格派焼きそば。何より驚いたのが、その調理方法だ。通常、インスタント焼きそばはフライパンで沸騰させた湯に、乾麺を投入し麺が十分戻って水気がなくなったところでソースを投入するが、正麺焼きそばは肉野菜を炒めたところに直接水とソースを投入し、麺と野菜をソースで煮込む。
カップ焼きそばで、湯切りする前にソースを入れてしまうというミスは誰しも一度はやるが、正麺焼きそばはそれが正式な調理法だというのだ。
考えてみればこれはコロンブスの卵で、袋麺焼きそばはフライパンで水気を完全に飛ばして調理する。水と一緒にソースを投入して薄まっても、出来上がる頃には元の濃さを取り戻しているのだ。そして、麺も野菜もソースをしっかり吸って味が染み込む。キャベツのシャキシャキ感は若干失われるが、しっかり水気を飛ばして焼き込めば、実に美味しい。なるほど、この作り方は理にかなっているじゃないか。
正麺焼きそばは、ソースがかなり甘めなのが好みの分かれるところだが、胡椒を用意すれば、かなりスパイシーな味にもアレンジできる。麺はモチモチ、具にもしっかり味が染み込んで、屋台の焼きそばを超える味わいだ。
ポイントは、上にも書いたけれど、水気をしっかり飛ばし、軽く焦げ目が出るくらいまで焼き込むこと。ちなみに正麺方式の作り方は、日清焼きそばにも有効だった。
新型コロナウイルスでスーパーから即席麺が消えがちな昨今、新参者の正麺焼きそばは売れ残っている店が多いらしい。ぜひ、騙されたと思って、一度買ってみて欲しい。