松田町ふるさと鉄道

先日の大型連休最終日、ふと思い立って、神奈川県松田町のふるさと鉄道を訪れた。

JR御殿場線松田駅、小田急小田原線新松田駅から20分ほど歩いた、西平畑公園にある遊覧鉄道だ。実物の1/6、7.5インチゲージのまたがるタイプの遊具だが、これが驚くほど本格的。

全長1100mの路線は、高低差実に30m。実際のスケールでは「6.5kmで180mの高低差」に相当し、三段スイッチバックで山を登る。木次線の出雲坂根に匹敵する本格的な登山鉄道だ。スイッチバックのほかにも、併用軌道区間やトンネルもあり頂上からの見晴らしも素晴らしい。列車はロマンスカータイプとSLタイプがあり、SLは薪を燃料とする本物の蒸気機関車だ。以前は石炭を使っていたが、公園内の樹木が煤で汚れてしまうため、薪に変えたのだという。

連休中ということで、さぞかし混んでいるだろうと思ったら、僕が到着した13時過ぎには空いていた。最終日で、午後には皆帰ってしまったようだ。

スピードは歩く程度なので、車掌は徒歩でついてくる。併用軌道と交換設備を過ぎ、第一スイッチバックが近づくと、車掌が笛で列車を止めた。

「分岐器が変わっているぞ。よく確認して」

手動の分岐器が、引き上げ線側を向いていた。前の列車のお客さんが触ってしまったのだろうか。

「圧力よし」

ボイラーの圧力を調整・確認して、スイッチバック区間に入る。勾配標はないが、30‰くらいはありそうだ。

頂上はラケット型ループ線になっており、トンネルをくぐってぐるりと回ると、進行方向が逆になって元来た線路に戻る。乗車時間は20分ほどだ。

運行は、毎週土日と祝日で、運賃は300円。運行スタッフは町のシルバー人材活用制度で派遣されているそうだ。

びっくりするほど本格的なので、ぜひ一度どうぞ。