成都で受けたあらぬ誤解

 1週間にわたった、中国の視察旅行。

 前半は、23時解散、4時半モーニングコールとか、そういう日程だったのだが、最後のほうになると少し余裕が出てきて、1日の日程が終わった後に同行の人々と語り合う機会ができた。

 新聞社や、旅行会社の人々との会話は、刺激的で楽しい。

 その日は、「崖の上のポニョ」をきっかけに、宮崎アニメの話になった。曰く、宮崎監督は、物語の舞台をはっきりとは示さないが、高畑監督は徹底的に現実の風景を作り込む、それは、「耳をすませば」の故・近藤喜文監督も同じだ……。

A新聞社「僕はあの映画は好きになれなかったなあ、完全に少女漫画だから。僕の好みじゃない」

わたくし「そうですか? でも、アニメだからこそ、できた映画なんじゃないですか。実写だったら、恥ずかしくて見てられないですよ」

B新聞社「あの監督、もう亡くなっちゃったんですよね」

わたくし「"耳すま"が最初で最後の監督作品だったそうですね」

C新聞社「……あの映画も、東京のどこかの町を舞台にしているんですよね」

わたくし「聖蹟桜ヶ丘ですよね。京王線の」

B新聞社「…………そうそう、現実の風景をすごく細かく作り込んでいるとか」

わたくし「でも、図書館はあの坂にはないんですよね」

一同「………………」

 その場にいた、一同の空気が変わった。なに、なに?

「栗原さん、もしかして……」
「ア、ニ……」

 何か、とんでもない誤解を受けてしまったようである。

 翌日。誤解は、さらに広がっていた。

「栗原さん、聞きましたよ。鉄っちゃんでアニメファンなんですって?」

 四川省成都。孤独な闘いが始まった。

コメント

  1. 匿名 より:

    ふふ笑

  2. TKC より:

    誤解の中から、真実があぶりだされてくるということで…。

  3. kaga より:

    そんだけ知ってれば、十分素質アリ ( ̄ー+ ̄)

  4. 小倉沙耶 より:

    空気が変わった瞬間を見てみたかったです(笑)

  5. かんりにん より:

    み、皆さん、フォローは?
    ていうか、従兄弟さんよ、なんの素質でしょう……