鮮やかで落ち着いた配色の「鉄子電車」
銚子電鉄の車両が、「鉄子カラー」にペイントされると聞いた時は、落ち着かなかった。 「今日もいっぱい銚子電鉄に乗れるぞ!」と叫ぶ横見氏が、車体にデカデカと描かれた電車が思い浮かんだからだ。
だが、それは無用の心配だった。銚子駅に姿を現した「鉄子電車」は、銚子の風景になじむ、落ち着きあるデザインだった。
鉄子のイラストなど、どこにもない。鮮やかなオレンジとネイビーブルーのツートンカラー。銚子の初日の出と海をイメージし、中央の白いラインは波しぶきを表現。ドアには白い斜線が描かれ、ドアの開閉によって波が寄せて返る感じを表現している。
すべては、『鉄子の旅』の作者である菊池直恵さんがデザインしたものだ。
撮り鉄の女の子も登場!って、豊岡真澄さんです
さすがである。鉄ヲタの鉄道の美学というものを、よくわかっている。
菊池さんによれば、デザインをする上で踏まえたことは、銚子電鉄の持つローカル線の雰囲気から浮かないシンプルなデザインにすることと、「銚子」から連想する色を使うということだった。
そこで選ばれたのが、「海の青」と「初日の出のオレンジ」。
海の青に現代的なアクアブルーなどを使わず、戦前の国鉄標準色(青3号)や、20系寝台車をイメージさせる"群青色"を選択したことに、センスを感じる。鮮やかなオレンジも、国鉄湘南色としてなじみ深い黄かん色を思い起こさせ、「その筋」の人間が見ても安らぎを覚える配色だ。
左)車内には、『鉄子の旅銚子電鉄応援冊子』に収録された「銚子電鉄再訪編」が掲示されている 右)営団地下鉄時代の名残であるランプが残る。見上げているのは村井美樹さん
確かにこの車両、どの角度から見ても、群青の海と日の出直前の赤く染まった空に見える。唯一残念なのが、ドアが両開きであることで、寄せて返す波を表現するなら、昔ながらの片開きドアの方がよかった。もちろん、これは車両の都合であって、デザインとは直接関係ない。
「鉄子電車」は、銚子電鉄を始め、経営難に苦しむ全国の中小私鉄を応援しようという、小学館の「銚子電鉄応援企画」の一環だ。100万円以上という塗装費用は、全額小学館が負担した。どうせなら、「特別塗装」などと言わず、従来の赤と焦げ茶の渋い配色と併せ、銚子電鉄の新標準色としてほしいものだ。
旧塗装時代のデハ1002(2007年6月9日)
さて、この日の「鉄子車両完成披露ツアー」の模様は、次のエントリで。
コメント
おちついた色になりましたね。
前の色の車体は、
トミーテックさんから鐵コレで出るそうですが・・・
いつもありがとうございます。
このカラーリングは、野月さんや横見さんも、かなり気に入っていらっしゃるようです。ずっと続けてほしいですね。