“光明線”初乗り

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 午後、空いた時間を活用して、やはり15日に開業した"光明線"に乗ってきた。

 "光明線"は、国鉄・地下鉄1号線始興駅から分岐する高速鉄道KTXの専用線を活用した路線だ。光明市の郊外に建設されたものの、停車するKTXが少なく利用者が伸びなかった光明駅を活用しようというもの。日本で言えば、東海道新幹線の品川-新横浜間に京浜東北線を走らせるようなものだ。いくら運行本数が少ないKTXとはいえ、高速専用線の本線上に昼間から通勤電車を走らせて大丈夫なのかという気はする。事故の心配ではなく、将来的にKTXの輸送力が大きく制限されるのではないだろうか。

 KTX光明行き電車は、龍山駅から発着する。40分に1本程度と、決して本数は多くない。

 始興駅14:00発の電車に乗ってみた。

 車内はガラガラ。いきなり、サラリーマン風の男性二人が、「光明行き」というアナウンスを聞いてまごついている。安養に行きたいらしい。

「これは光明行きで、安養には行きませんよ」

 教えてあげると、二人はあわてて電車を降りた。車内には、僕のほかは若い男性が二人。

「あのう…」

 一人が話しかけてきた。

「光明行きって、どこに行くんですか。珍しくて乗ってみたんですけど」
「KTXの光明駅に行くんですよ。KTXの線路を通って」
「えー、そうなんですか!?」

 ていうか、外国人の僕に聞かないでほしい。

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 すでに多くの乗客でにぎわっていた東豆川と違い、こちらはまるで知名度が低いらしい。全車両合わせても、20人程度しか乗っていないようだ。

 電車は、始興駅を出るとまもなくトンネルに入った。KTXなら、このトンネル内でスピードを上げ、光明駅を通過し再び地上区間に出るころには、時速300kmに達している。だが、この電車はいつもの1号線と同じように、時速60kmしか出さない。やがて終着駅のアナウンスが流れ、トンネルを抜けるとそこが光明駅のホームだった。面白くもなんともない。

 KTX光明駅は、本当に何もない、田んぼの真ん中に建設された巨大な駅だった。開業当時の、燕三条駅あたりを思い出す。

 釜山行きKTXが接近しているらしい。コンコースにぱらぱらと集まっていた利用客は、通勤電車には目もくれず、KTXのホームにぞろぞろ歩いていった。どうやらこの"光明線"は、通勤路線ではないようだ。新道林など、ソウル南部郊外に住んでいる人たちが光明駅からKTXに乗るための、KTX連絡電車ということらしい。だったら、最初から始興に駅を作れば良さそうなものだ。現状では、光明市街からもバス利用が必要で、始興、新道林、安養などからのアクセスも悪い。やはり、政治的な事情があったのだろう。

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 夕方、打ち合わせがあったので、バスで早々に市内に戻った。