さて、伊那の話の完結編。
ソースカツ丼にローメン、うしお煮など、いろいろ旨いものを食べたが、実はいちばん気に入ったのは、これ。
ヨーグルト好きにはたまらない、すっきりしていながら濃厚な口当たりがいい。「のむヨーグルト」と言ってはいるが、ドリンクというよりはヨーグルトクリームだ。スプーンがほしいと思うほどトローンとしている。ヨーグルトにありがちな酸味のきつさがなく、甘すぎることもない。あんまりおいしいので、おみやげに900ml入りのペットボトルを2本も買ってしまった。クーラーボックスと冷却剤が付いて、1,300円。そんなに高くもない。
さて、このヨーグルトの欠点は、ただひとつ。
それは、さいごのほうが飲みにくいこと。
あんまり濃厚すぎて、ヨーグルトが瓶の底に留まったまま、出てこないのだ。
もったいないので最後まで飲みたいのだが、それには瓶を口にあて、天を仰いだ姿勢のまま十数秒耐えなくてはならない。
「瓶を、横に倒すといいですよ」
地元民である友人Rが的確な助言を与えてくれた。やっと暖かくなってきた春の午後。隣では、西原理恵子のまんがに出てきそうなガキども子供たちが、芝生の上をゴロゴロ転がってはしゃいでいる。ここは、駒ケ根ロープウェイ乗り場に近い、駒ケ根ファームのベンチだ。
僕らは、横に倒したヨーグルトの瓶を、そのままじぃっと見つめていた。