逆転裁判 今ごろクリア

 げほ、ごほ、ごほ。風邪ひいた。

 札幌でもらってきたらしい。寒かったもんなあ。

 そんな状況にも負けず、数週間に渡ってこつこつ進めてきた「仕事」が、ついに終わった。今は、さわやかな疲労が心地よい。

 ゲームボーイアドバンス用ソフト、「逆転裁判」三部作を、クリアしたのだ。

 最初は、あまり良い印象ではなかった。
 現実の裁判とはあまりにもかけ離れたシステム。
 いかにもマンガチックな、胡散臭い登場人物たち。
 お子さま向けのサスペンスもどきなんだろうな、と思っていたのだが……。

 気がついたら、はまっていた。

 「逆転裁判」は、無実の罪で起訴された被告人を弁護するゲームだ。検察側証人(真犯人だったりする)の証言をつぶさに聞いて、手持ちの証拠品との矛盾点を捜して提示し、真犯人のウソを暴いていく。 推理を誤れば裁判官の心証が悪くなり、最悪の場合有罪判決を下されてしまう。たいてい真犯人は冒頭で提示されており、古畑任三郎のような、真犯人との知恵比べを楽しめるようになっている。

 僕がよく知っているアドベンチャーゲームは、用意されたコマンドをひととおり試していけば、たいていいつの間にかクリアできるようになっていた。しかしこのゲームでは、ミスは被告の有罪判決に直結する。裁判長に「○○が××だという証拠を提示してください」と言われても、トリックがわからず、丸1日悩んだこともあった。ゲームをしながら、本気で「推理」したのは初めての経験だ。この作品が最初に発表されたのは、2001年のこと。僕が韓国に留学している間に、こんな面白いゲームが出ていたとは。

 一見無関係に思えた複数の事件や人物が、話が進むにつれて次第に結びつき、3作13話の物語を終える頃には、ひとつの大きな思惑が見えてくるストーリーも良かった。以前読んだ、鮎川哲也の推理小説を彷彿させるトリックもあり、きっとこのゲームの作者はミステリーを相当読んでいるのに違いない。

 検察官がムチを持ったり、霊媒師の存在が前提になっていたりと、舞台設定は荒唐無稽だったが、久しぶりにゲームをたっぷり楽しめた。NintendoDSで続編が出るらしいが、さてどうしよう。

 我にかえると、原稿の催促が届いていた。