母校の思い出

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 週刊AERAに、我が母校、都立豊多摩高校が取り上げられているというので、早速購入した。

 特集の題名は、「有力高校の人材力と学力」。すばらしい。我が豊多摩高校が、"有力高校"と認められたということだ。僕はあふれる感動を抑えることができなかった。

 最初に登場するのは、御三家のひとつと言われる麻布高校。橋本龍太郎をはじめとする多くの政治家を輩出した名門校だ。ここは、単に偏差値が高いだけではなく、「生徒会も制服も高速もない自由な」学校らしい。卒業生は語る。

「自分で秩序をつくりだす力を培うことができたかもしれない」

 どんなに苦しくても、自分でなんとかする独立心旺盛な校風が、多くの人材を生み出したのだという。

 そんな麻布高校の次に登場するのが、我らが豊多摩高校だ。なんと、豊多摩のくだりには、わざわざ見出しが立ててある。

「なまけの森」

 ……。

 気を取り直して、読み進んだ。「宮崎駿、谷川俊太郎、イッセー尾形らを出した」。そう、我が豊多摩高校は、政治家こそ出していないものの、こうした表現者たちを数多く輩出している。それこそ、「偏差値ではわからない」豊多摩の魅力だ。わかっているじゃないか。卒業生は、豊多摩の校風をこう語る。

「なまけの森という場所があって、授業に出たくない生徒はそこにいれば、先生が目をつぶってくれるという暗黙の了解があったんですよ」

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「都立西高のほうが進学実績があるが、あえて豊多摩高への進学を希望する家庭もある」

 ……うむ。たしかに、僕もこれに似た話を聞いたことがある。

「中学までは、勉強しなくてもそこそこできたんで、勉強なんてしたことがない。やれば西高だって入れるはず。でも、あえて豊多摩への進学を希望した」。

 やればできる。僕も、中学の進路指導では、担任から「勉強すれば、できそうなんですけどねぇ」と褒められたものだ。

 そんな人材が集まっていたので、豊多摩は当時「浪人率全国ナンバーワン」として、週刊誌にも取り上げられもした。

 今思い出しても、なつかしい。毎日放送室で授業をさぼったこと。帰宅部を結成して部員を募ったこと。試験休みに旅に出て、赤点取って呼び出しをくらい、食中毒で寝ていることにしたこと……。床が抜けて、立ち入り禁止になった教室もあったっけ。どれも、すばらしい思い出ばかりだ。僕の人間性も、まさにこの3年間で形成されたといっていいだろう。