春川ダッカルビ

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 いったんソウルに戻り、留学時代の友だちを引き連れて再び春川へ。別に一人でも良かったのだが、友だちを連れ出した理由はただひとつ。
 春川ダッカルビを食べるためだ。
 鶏肉を野菜とともに炒めたダッカルビは、安くて旨くてボリュームがあるということで、最近日本人の間にも人気の料理。春川はそのダッカルビの本場である。焼肉系の料理を一人で食べるのは何ともわびしく、友だちを誘ったというわけだ。
 先に取材を済ませ、春川市内中心にあるダッカルビ横丁に着いたのは夕方7時すぎ。小さな路地にずらりと並んだ店の中から、そこそこ込んで、そこそこ老舗っぽい店を選んだ。メニューはダッカルビしかなく、席に就くとまもなく運ばれてきた。
 ものすごいボリュームだ。
 とても2人分には見えず、ソウルで食べるダッカルビの倍くらいはある。山のようなキャベツ、餅、サツマイモの上には、ヤンニョム(タレ)に漬かった巨大な鶏肉が。おばちゃんが、はさみで肉をバチバチ切り、15分ほどかけてじっくり焼く。ヤンニョムが全体に行き渡り、キャベツが十分柔らかくなったころが食べ頃だ。
 うまい。ただ量が多いだけではない。ほどよく辛く、野菜だけ食べてもうま味十分。ヤンニョムには唐辛子だけでなく、果物なども入っているようだ。二人とも無口になり、ただ黙々と食べ進んだ。
 ダッカルビは、最後にご飯を入れてボックンパプ(炒飯)にする。そのために、最後まで食べきらず、ひとかたまり残した状態でご飯を注文するのがお約束だ。今日も3/4ほど食べたところで、ご飯を注文。おばちゃんが来て、鉄板にこびりついた焦げをきれいに削り取ってくれた。そのときである。信じられないことが、起きた。
 もうちょっと食べたいのを我慢して残しておいた、1/2人前ほどのダッカルビ。それを、おばちゃんは何の迷いもなく、お焦げと一緒に下げてしまったのだ。
 僕たちは、ただ呆然と座っていた。目の前で起きたことを、現実として受け入れることができなかったのだ。きっと、ご飯と一緒にまた持ってきてくれるよ。そんな願いは、まもなく無惨に打ち砕かれる。ご飯をヤンニョムで炒めただけのシンプルなボックンパプをつまみながら、言いようのない敗北感に包まれていた。まだ食べたかったのに……。まだ食べたかったのに……。まだ食べたかったのに……。
 教訓。春川では、ダッカルビは最後まで食え。

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コメント

  1. Hyeon より:

    うわぁぁぁぁ
    おいしそう。。
    調理前でもこんなにおいしそうにみえるってすごい力ですね
    白いピロっとしたものはモチですか??
    気になる。。