夏の嵐

引き続き、とあるドラマのロケ地取材で、某スキーリゾートに来ている。
ホテルのフロントで広報の方と挨拶し、まずはゴンドラに乗って山頂にあるレストランへ。広報の人は会議があるとかで、パスだけもらって、一人で行く。
閑散期の平日なので、目当てのレストランは休業中だった。勝手に撮っていいというので、電気をつけ、椅子の配置を変えたりしてたくさん写真を撮る。気がつくと、1時間以上たっていた。まだまだ撮るべき場所は多いので、そろそろ山を下りることにする。階段を降りて、1階のゴンドラ乗り場へ。
「強風のため運転中止」
無常な表示が目に入った。見回すと、山頂には職員を含め誰もいない。休業中のレストランに人がいるとは思わず、ゴンドラの運転を中止して全員下山してしまったらしい。
この状況… どこかで見たぞ…。
そのドラマでは、急に吹雪が激しくなり、ゴンドラが止まって、主人公の二人が下山できなくなってしまう。覚えている人も多いだろう。まさに、先週放送したばかりのあのシーンだ。
山頂に取り残された二人は暖炉で暖まりながら夜を過ごす。つい口論になってしまい、女性があなたにとやかく言われる筋合いはない、と突っぱねる。すると、ミニョ…男性は、ついに本音を漏らしてしまうのだ。
「それは、僕があなたを、愛しているから…」。
そう。まさに、それと同じ状況が、今僕に。
「あなたを、愛しているから…」。
って、相手いないっつーの。暖炉も消えてるし。
結局1時間半後に車で救助されたが、後の取材予定はめちゃくちゃ。6万5000Wも出して、ここに一晩泊まることになったとさ。…ビールのもっと。