「大極旗を翻して」鑑賞

たった今見て、帰ってきた。2月5日の公開以来、韓国映画の記録を次々塗り替えている話題作だ。日本でも「ブラザーフッド」として今夏の公開が予定されている。主演はチャンドンゴンとウォンビン、監督は「シュリ」のカンジェギュと、豪華な顔ぶれでも話題になった。

1950年夏、家族を守るために一生懸命暮らしていた、ジンテ(チャンドンゴン)とジンソク(ウォンビン)の兄弟は、朝鮮戦争の勃発によって強制的に徴兵され、戦地に送り込まれる。ジンテはジンソクの徴兵取り消しを求めるが聞き入れられず、そのためには自分が英雄となるしかないと考え、次第に率先して戦うようになっていく。次々と手柄をたてるジンテと、戦争への疑問を拭い切れないジンソクの間には次第に溝が生まれ…(全部聞き取れてないので間違ってる可能性あり)。

 感想。ひとことで言って、かなりいい。意図的にアップを多用したカメラワーク、以前の韓国映画とは比べ物にならないほど迫力ある戦闘シーン。あまりの生々しさに、目を背けたシーンも多かった。
 ストーリーはよくある戦争によって引き裂かれた家族と兄弟の悲劇。映画の中盤でクライマックスの展開が読めるのは残念だったが、それを補って余りある力を備えた映画だった。
 予想外にすばらしかったのは、ウォンビンの演技だ。兄に頼るばかりのひ弱な青年が、戦場で幾多の修羅場を乗り越えてたくましく成長していく様を見事に演じていた。映画の序盤と終盤で、別の役者が演じているのかと思ったほどだった。正直、映画終盤まで来ると、ウォンビンがかっこ良すぎて映像にマッチしていないと思ったのだが、これは僕のひがみなのかも。
 映画が終わり、照明がつくと、ほとんどの観客が泣いていた。
 だが、僕は泣けなかった。
 「オアシス」や「8月のクリスマス」でがんがんに泣いていたのに、涙は出なかった。
 頭に浮かぶ単語は、朝鮮戦争、南北分断、冷戦、国連、人民解放軍。当時の歴史にばかり思いを馳せていた。朝鮮戦争の悲劇を、自分の家族のこととして捉えられる韓国人とは、根本的に受け止め方が違う。やはり、僕は外国人ということなのだろう。
 ちょっと、いろんなことを考えた。
太極旗を翻して公式サイト(韓国語)

コメント

  1. 『紙一重』と『隣り合わせ』

    『偏見』を『常識』に変えるのには『時間』が必要で、『常識』を『偏見』に変えるのには『爆発』が必要だ。