帰国。

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「あ、○○ちゃん? 今成田。うん。スカイライナー乗ったから。6時くらいに着くわ。」
後ろの座席のおばちゃんが、なにやらずっと話している。うるさいな。電車の中で携帯を使うのは、エチケット違反じゃないのかな。
滑るように走るスカイライナー。佐倉の風車小屋を眺め、整然とした住宅地の八千代台を過ぎると、速度を落として船橋の町に入った。高架線の工事が進み、だいぶ雰囲気が変わった。10年前は、ここに毎日のように通った。駅前の、おばあちゃんがやっていた佃煮屋は、今もあるだろうか。
八幡を通過するあたりから、夜の帳が降りてきた。ここにはおいしい寿司屋がある。高校時代にこつこつ貯めて預けた定額貯金を解約したのも、ここ八幡の郵便局だ。駅の中にある喫茶店で、よくコーヒーを飲んだ。
荒川を渡る。おじいちゃんが、孫と手をつないで歩いていた。
京成関屋。近くには遊園地があったはずだが、今はよくわからない。ここの迷路に憧れたが、一度も行かなかった。大学生の頃は、毎週足立区でバイトをした後、ここで京成線に乗り換え津田沼へ。2つの駅が向かい合った、ほんの20mほどの間に赤ちょうちんが数軒あり、その雰囲気が好きだった。ちょっと足を伸ばして、柴又駅前でモツ煮込みをつまみにビールを飲むのも楽しかった。
日暮里駅で降り、夕焼け段々を通って谷中ぎんざへ。空き地が100円パーキングになっていたが、ネコどもは相変わらずゴロゴロころがっていた。おまえら、また太ったな。
狭い商店街で、コロッケをひとつだけ買って食べた。60円。
路地を歩いて、着いたのは初音湯。湯船につかり、絵を眺めた。富士川と、富士山。
なんだか、日本語が聞こえてきた。
※写真…すっかり暗くなった、谷中ぎんざ