ネコマンガ大全集


ヤフオクで、奇想天外社の「ネコマンガ大全集」を落札した。昭和57年3月に刊行された、猫をテーマにした漫画のアンソロジーだ。


いまから37年前、僕は小学5年生。当時の我が家は猫屋敷で、この本は親が買ってきた。おそらく日本初の猫漫画アンソロジーだろう。

当時も思ったけれど、この本、執筆陣が極めて豪華だ。手塚治虫に赤塚不二夫、松本零士に水木しげる。萩尾望都、大島弓子、和田慎二といった昭和を代表する少女漫画家も並んでいる。

単行本に収録されていない作品が多いのも特徴で、特に松本零士の「BRUNO WALTER」がお気に入りだ。秋葉原でレコードプレーヤーを購入した若き日の松本零士と、ナチスに迫害され米国に逃れたユダヤ系ドイツ人指揮者ブルーノ・ワルターの人生が交互に描かれる。松本ファンならお馴染みの、ミーくんと思われるトラ猫も登場する。

今でも比較的入手しやすいのが手塚治虫の「おけさのひょう六」。佐渡に伝わる(という設定の)踊り好きな小作人の物語だが、久しぶりに読んでみたらこんなに救われない話だったのかと驚いた。

救われないのは、水木しげるの「むせび泣く猫」も同じ。全体に、ミステリー風味の作品が多い。猫ブームとやらの現代ではまずお目にかかれない作品が多数収録されている。

中ほどの「マンガ猫辞典」もすごい。ドラえもんからニャロメ、小鉄とアントニオJr.といった猫キャラクターが、カット付きで紹介されている。「しあわせさん」のオヨヨ、「エースをねらえ!」のゴエモン、「いなかっぺ大将」のニャンコ先生、「横須賀ロビン」のロビンなどなど。これ全部許諾とったのかな。今ではなかなか難しいかもしれない。

今では読めない作品が多く、なんとかKindleとかで復刊してもらえないものだろうか。