15日、白川郷を取材した帰りに、東海交通事業城北線に立ち寄ってきた。
この路線、開業間もない1993年頃に乗ったものと思っていたが、もしかしたら記憶違いだったかも。当時はレイルウェイ・ライター種村直樹氏の写真整理をしていたので、そこで見た映像と自分の記憶が一部ごっちゃになっているのだ。
さて、城北線は、東海道本線枇杷島駅と、中央本線勝川駅を結ぶ11.2kmの路線だ。元々は東海道本線と中央本線を結ぶ国鉄貨物線として計画された。
国鉄分割民営化後はJR東海が工事線として継承したが、Wikipediaによれば高額な賃料を支払うことを回避するため、子会社の東海交通事業が運営にあたることになったという。
貨物線、そして名古屋近郊の大都市路線として建設された路線は、とんでもなく立派な高架線で、名古屋第二環状道路に併走している。 だが、保有している車輌は事実上わずか2両。日中は、単行の気動車が1時間に1本往復するだけという、今時珍しい都会のローカル線だ。
まあ、それにしても立派な高架線だ。今時、新幹線でもこんな立派な高架線作らないぞ。いかにも鉄建公団という感じ。
どの駅も、基本的には住宅街にあり、埼玉県を思わせる雰囲気だ。それでも歩いてみると、駅周辺には個人経営の喫茶店や食堂がけっこうある。こういう所が名古屋の魅力だ。
もう2時間ほど時間があれば、気になった喫茶店をはしごしたのだけれど。惜しいことをした。
それでも、味美(あじよし)駅のすぐ隣には、前方後円墳の「春日山古墳」があった。古墳全体が児童公園になっていて、ちょっと残念な状態だったけど。この辺りには、古墳がたくさんあるらしい。
行ったり来たりしながらの全駅下車を志したが、もともと途中駅が4つと少ないので、3時間で全駅下車を達成した。まあ、でもあくせく行ったり来たりするよりは、これはと思った駅でのんびり過ごすほうが楽しいかもね。
城北線は、JRが税金対策?で走らせているような雰囲気の気の毒な路線だが、沿線には結構見所があるようだ。公式サイトでも、ウォーキングマップを用意しているので、1日かけたらもっと楽しめそう。「あの」清洲城やキリンビアパーク名古屋も徒歩圏内だ。
終着・勝川駅はJR中央線と接続している駅だが、実際には500m近く離れている。中央本線高架化事業のため仮駅での営業……ということになっているが、中央線の高架がとっくに完成した今も、本駅に乗り入れる気配はない。
「お客さん、このきっぷ、JRのですよ」
勝川で降りようとすると、乗務員が女性客に声をかけていた。名古屋から勝川までのJR乗車券(230円)を買い、間違えて名古屋→枇杷島→勝川と来てしまったらしい。彼女は230円に加えて、城北線の運賃470円を払わされていた。この手の乗り間違えはかなり多いのではないだろうか。100%子会社なんだし、せめて差額の収受くらいにしてあげればいいのに。
真新しい勝川駅には、城北線のホームがきちんと用意されていた。
さて、城北線にまともな通勤列車が走る日は来るのだろうか。