モランボン「韓国食文化のこころ」

 この前の日曜日、新宿の全労済スペースゼロで、モランボン主催の講演会「韓国食文化のこころ」に参加してきた。モランボンが誇る焼肉調味料「ジャン」の、発売30周年記念イベントだ。

 プログラムは2部に分かれていた。前半は、宮中飲食研究院韓福麗(ハンボンニョ)先生と、朝鮮料理モランボン流師範の全京華(ジョンキョンファ)先生による対談。

 韓先生は、朝鮮王朝時代の宮中料理についての技能を保有する、無形文化財38号に登録されている方だ。宮中料理技能保有者としては3代目にあたり、ドラマ「チャングムの誓い」の料理監修も務めた。在日韓国人である全京華先生も、同ドラマの日本語版を監修した、韓国食文化の大家である。

 このお二人が、韓国の食文化について語る……ということで、あるいは難しい話になるのかと思ったが、「チャングム」のウラ話などもたくさん飛び出す、楽しい座談会だった。

「一番手間をかけた料理が、一番テレビに映る時間が短かったんです」

「本当は、料理で勝負なんてしたら、美味しいものは作れませんねぇ」

 ちなみに、韓先生は第3代技能保有者だが、そのお母様は、先代の技能保有者である黄慧性(ファンヘソン)先生だ。黄先生は2006年に亡くなられたが、日本ではジャーナリストの石毛直道氏との対談集「韓国の食」(平凡社ライブラリー)という書を残した。この本は、たいへん読みやすく資料性にも冨み、韓国の食文化を知るうえで欠かせない日本語の入門書となっている。韓国料理や、韓国の食文化に関心を持つ方に、ぜひ一読をお勧めしたい。

 第二部は、ユンソナとヘリョンが登場しての、楽しいトークショー。ユンソナは、ちょうど僕が韓国に留学した頃、来日したのだが、あの頃に比べると、本当に日本語が上手になった。僕の韓国語と比べると、すっかり水を空けられてしまった感があり、ちょっぴり勉強の意欲がわいてきた。仕事が一段落したら、また勉強するかな。

 さて、ユンソナは、現在モランボンのCMキャラクターを務めている。、「裏面を見てって言えない状況です」というフレーズが人気を呼んだ、「チャプチェ」のCM「本場の味篇」。

 このCMの撮影当時、ユンソナはつわりがひどくて大変だったそうだ。

「ほんと、チャプチェのにおいが気持ち悪くて」

 モランボン主催のイベントで、この本音トーク。なんともユンソナらしい話で、おかしかった。

 帰りには、お土産として、その「チャプチェ」のほか、韓国の両班ブランドと共同開発した「韓キムチ」、そしてユンソナがマネージャーの五間岩ゆかさんと共に書いたエッセイ「きらいきらい大好き」(幻冬舎)をいただいた。

 本のほうはまだ読めていないが、「韓キムチ」はかなり旨い。漬けたてなので酸味が少なく、辛さも抑えてありうま味がある。もう少し発酵が進めば、まさしく韓国のキムチだ。

 久しぶりに、「ジャン」で焼肉を食べたくなった。