偶然の出会い

友人のYからメール。

「これから高円寺で飲むんです。かげりさんも来ませんか?」

Yは、映画関係の仕事をしている。数年前に東京を引き上げ、1000キロ以上離れた故郷に帰ったのだが、去年、再びこちらに出てきた。しかし、それ以来巡り合わせが悪く会えていない。21時すぎには区切りが付きそうだったので、行くことにした。

高円寺駅に着いたのは、22時前。しかし、先ほどからYに電話が通じない。電話をしても即留守電。メールの返事もかえってこない。

気づかないうちにバッテリーが切れたか、地下の店に入ったようだ。きっちり約束していたわけではないので、しょうがない。

ガード沿いの焼き鳥屋に入って、生ビールを注文。時々Yに電話してみたが、やはり通じなかった。

1人で飲む気分でもなかったので、1杯だけで店を出た。

帰るにも中途半端な時間だったので、なんとなく、高円寺駅前のマクドへ。ドリンクだけ注文し、ノートを広げていくつか公私のメールを処理した。

「あの、くりはらさん、ですか?」

振り返ると、友人の夫徳柱くんだった。韓国で見た、在日問題を取り上げた番組に出演していた「在日韓国人3世」とされる青年だ。その番組について、僕がブログに書いたことがきっかけでメールをもらったことがきっかけで知り合った。といっても、一昨年高円寺阿波踊りを見た後は、ご無沙汰していた。

彼は、2日後に大事なプレゼンが控えているため、仕事関連の知人と打ち合わせをしている最中だった。その知人と名刺交換して、しばらく雑談を楽しんだ。

すると……

「えっ、中央中ご出身なんですか」
「えっ、森田先生? 僕の担任ですよ」
「えっ、お兄さんは昭和46年生まれ?」

中学の同級生の、妹さんだったことが判明。

数多くの偶然が重なって、中学の同級生までつながってしまった。誠に、この世は不思議だ。