第36回韓国語弁論大会

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 今回の大阪出張の主な目的のひとつが、「第36回韓国語弁論大会」を見学することだった。

 しばらく前に、このブログに弁士募集のバナーを出していた。日頃お世話になっている高電社の知人に頼まれたものだったが、僕も、一度大会を見てみたかった。

 会場は、地下鉄谷町線中崎駅に近い、大阪韓国人会館の大ホール。開始時刻の15分ほど前に到着すると、すでに100人以上の人が集まっていた。

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大会が始まると、観客は200人以上に。

 この弁論大会は、1973年から毎年行われている、日本で最も歴史のある韓国語弁論大会だ。韓国大阪青年会議所(JCI Korea Osaka)の主催で、参加資格はネイティブスピーカーと過去の上位入賞者を除くすべての人。この日も、出場21人のうち、半数近い10人が、韓流ドラマなどで韓国語に興味を持った日本人だった。残る僑胞(きょっぽ:在日韓国・朝鮮人)と見られる参加者も、日本の名前の人が数名いた。日本国籍を取得した韓国系日本人のようだ。以前なら、僑胞のコミュニティは日本国籍の取得を良しとしなかったはず。運営側も、この大会を日韓交流の一環と捉えていると言っていた。時代は着実に変わりつつある。

 もっとも、運営には、在日韓国人社会のイベントだった時代の名残を感じた。来賓は韓国の関係者だけだったし、国旗も韓国の太極旗のみ。国旗掲揚・国歌斉唱は「国民儀礼」と称されており、そこには、日本人参加者の存在は考慮されていないように感じる。これまでの歴史的経緯もあり、なかなか一気に変わることは難しいのだろうが、いずれは日本の国旗も掲揚し、韓国・日本両国の国歌を斉唱する大会になることを期待したい。

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審査を待つ間、観客、出場者全員におにぎりとウーロン茶が配られた。これも、内々のイベントだった時代の名残かもしれない。キムパプとかではない辺りが興味深い。

 さて、今年の大会のテーマは、「出会い」。学習歴3年未満を対象とするビギナー部門と、それ以上の一般部門共通で、3分以上5分以内で弁論する。原稿は事前に提出するが、原則として原稿は見ずに弁じるルールのらしい。大変だ。

 中には、訪韓経験なし、学習歴数ヶ月という高校生もいたが、日本人を含めてどの人も発音が上手なことには驚いた。ビギナー部門の弁論も、ちゃんと韓国語として聞き取れる。弁論後の質疑応答では、流石に一般部門と差があったが、日本人の韓国語学習環境は、僕が留学した頃とは比較にならないほど向上しているようだ。

 強かったのはやはり僑胞の子供だ。普段から学校や家庭で韓国語に親しんでいるうえ、吸収力が違う。立派な民俗衣装を着て、国旗に向かって手を胸に当てて敬意を表す小学生。日本の教育を受けてきた僕には、やや違和感を感じる光景だったが、これが韓国の民族教育というものなのだろう。

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僑胞とは関係ない、日本人高校生 の応援団。手作りのカラフルな横断幕?が楽しい。こういう雰囲気は、いいね。

 僕が出場していたら、どうなっていただろう。今の僕の実力では、入賞はきっと厳しかったに違いない。久しぶりに、韓国語をきちんと復習したくなった。

コメント

  1. まらごしぽ より:

    このあいだ、仕事で韓国人スタッフ30人を前にあいさつしようと思ったら、皮切りの言葉が出てこなくてなかなかマイクの前に立てず、困ってしまいました。いったん始まれば勢いで何とかなるのですが……やはり日常的に継続しないとダメですね、コトバは。
    最近は韓国語の検定試験もいろいろ増えたみたいですね。この秋はどれか受けてみようかな。

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