村営バスで峠越え

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 石勝線に乗り換えるか迷った新得駅では下車せず、滝川行き快速「狩勝」の旅を続けた。

 狩勝峠の絶景を楽しみ、落合駅を通過したところで腰を上げた。10:52幾寅駅着。映画「鉄道員」の舞台、「幌舞駅」として知られる駅だ。

 駅の内外には、「鉄道員」ゆかりの道具や出演者たちのサイン、オープンセットの建物などが展示されていた。駅舎にはでかでかと「幌舞駅」の駅名票が掲げられ、肝心の「幾寅駅」は屋根に小さくあるだけ。いっそのこと、幌舞駅に改称してはどうかと思うほどだ。

 セットはどれもよくできていたが、食堂の隣に展示されていたキハ40は微妙。前半分しかない上に傷みも激しく、まるで暴走して駅前広場に乗り上げた事故車両みたいだ。

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 1時間ほどぶらつき、いったん下り列車で隣の落合駅に降りてから、再び滝川行きに乗って12:39金山着。

 駅近くを散策し、町の神社で5日遅れの初詣をしてから、今度は13:41発の占冠村営バスで石勝線占冠(しむかっぷ)駅へ向かった。金山と占冠は、金山を越える国道237号線で結ばれており、ここを1日3本、村営バスが走っている。ちょうどいい時間にバスがあって助かった。これが、時刻表を見ていて思いついた「妙案」だ。

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 思ったよりも大型の村営バスは、結構な数の乗客を乗せて国道を走り、14:08占冠に到着した。駅前の物産館をぶらぶらし、14:42発の特急「とかち6号」に乗った。

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 こうして、占冠村営バスのおかげで旧根室本線と石勝線両方を乗り歩くことができた。特に感動的な何かがあったわけではない。しかし、列車では行けない金山峠を通れ、4つの駅と集落を歩けて満足度は高い。観光地であるなしに関わらず、見知らぬ土地を歩くのは楽しいものだ。

 夕方、夕張に足を延ばしてから札幌へ。再び「はまなす」に乗れば、北海道ともお別れだ。