旭山動物園

旭山動物園

 旭川へ急いだのは何故か。それは、もちろん旭山動物園に行きたかったからだ。

 年間入場者数300万人。上野動物園に匹敵する実績を誇り、「プロジェクトx」にも取り上げられた、"奇跡の動物園"。それが、旭山動物園だ。

 何がそれほど人を引きつけるのか。それを肌で感じるため、プロジェクトXを含め、旭山動物園の成功を論じる情報には、なるべく触れないようにしてきた。

 で、行ってみた感想。

 ……おもしろい。

 帰りのバスの中で調べたWikipediaによれば、旭山動物園の成功は形態展示から行動展示に変えたことにあるらしい。なるほど、ペンギン館やアザラシ館の水中トンネルは美しかったし、もうじゅう館で見たライオンの異様な近さは、これまでの動物園にはあまりなかったものかもしれない。

 でも、僕は園全体にあふれる、手作りの精神と、職員たちの自信がとても心地よかった。

 あちこちに貼られた、手書きの解説。かわいい手描きのイラストと、はさみで切り抜いた紙焼きの写真が暖かい。貼りっぱなしで古くなった解説はひとつもない。それどころか、「去年はこういうことがあった」と書かれていたら、どうもそれは2007年のことらしいのだ。動物と環境の保護を訴える解説も、錆びた看板に書かれた活字と、真新しい手作りの貼り紙では、訴える力が全然違う。無数の解説を読んでいるうちに、僕は動物園のスタッフ全員と古くからの友人であるような気分になっていた。

 旭山動物園冬の名物、「ペンギンのお散歩」。到着してすぐ見たこのイベント、タイトルを見たときは、ペンギンが整然と一列に並んで行進するショーをイメージしていた。

 ところが、実際の「ペンギンのお散歩」は、本当にペンギンがダラダラ歩くだけなのだ。突然コースを外れて雪遊びを始める奴もいれば、沿道で見守る観客とにらめっこを始める奴もいる。歩くスピードもペンギンによって全然違い、もちろん芸なんて何もしない。しかし、それがかえって生き物らしい。

 フラッシュ禁止など、観客に呼びかける注意も、事務的なところがなく楽しい。「ゆっくりお見せできなくて申し訳ありません。歩いているフリでも結構ですので、立ち止まらずにお進みください」。なかなか言えないよ、こんなこと。

 10時45分に入場し、出たのは14時。予定を1時間も延ばして、列車の時間にぎりぎりだったが、それでも時間が足りなかった。できれば、平日にもっとゆっくり訪れたいものだ。

コメント

  1. TKC より:

    よかったでしょ、旭山動物園。
    昨夏に、臨時特急「旭山動物園号」だけが目当て(嘘)で行ったけど、また行きたい場所です。
    冬限定のペンギンの散歩、見れたのがうらやましいです。
    列車に乗るだけじゃなく、観光しているのがエラい?です。

  2. 旭山動物園「あざらし館」に流氷が

    本格的な寒い冬に入りつらい生活が続きますね。今日は日本全体で雪が降るといった真冬到来!!といった日でした。しかし冬の北海道は雪が積もり、雪が降るなんてレベルではありません。みなさん寒い冬に負けず、がんばっていきましょう。そんな寒い最近ですが、北海道旭……