PCをメディアサーバにするOrb日本語版

Orb

 米Orb Networks社が、PCをメディアサーバにする無料ソフト「Orb(オーブ)」の日本語版をリリースした。

 あまりニュースになっていないけど、このソフト、かなり面白い。

 インストールしたPC内に保存されている動画・音声・画像・文書といったファイルを、ネットを通じてどこからでも参照できるようにするソフトだ。閲覧側は、Orb社のサイトを開くことさえできれば、OSや機種を問わない。 W-ZERO3やPSP、極端な話携帯電話からでも、アクセスできる。

 事務所のPCにOrbをインストールしておき、外でW-ZERO3を使ってアクセスすると、事務所のPCに保存されている動画や音声を簡単に再生できた。回線速度を自動的に測定し、最適なビットレートにエンコードしてくれるので、回線が遅くてもなんとかなる。そのままではZERO3では再生できない動画ファイルも、 WindowsMediaファイルに変換してくれるのも便利だ。

 アクセスする方の画面も、サイトの方でパソコンか携帯端末かを判定して、 W-ZERO3などの携帯端末であれば自動的にシンプルな画面にしてくれる。

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↑W-ZERO3で事務所のPCにアクセスしたところ。左が初期画面、右は動画のリスト

 さて、肝心の品質だが、W-ZERO3のPHS回線(64kbps)では、さすがに動画は少々きつい。 120*80程度の小さな画像で、動きも5~8fps程度。音もかなりキンキンした感じになるが、聞き取りにくいということはない。インターネットテレビやラジオも再生できるので、試しに蔚山MBCテレビを見てみると、画像は何が映っているのか、想像力を働かせればわかるという程度だが、音声はよく聞き取れた。ヒアリングの練習に良いかもしれない。

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↑WindowsMediaPlayerだと、等倍表示しかできないので、画像は非常に小さくなる。TCPMPを使えば、一応全画面表示が可能。ただし、かなり荒い

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↑YouTubeもOrb経由で検索できる。W-ZERO3では、OPERAブラウザを使えばYouTubeにアクセスできるが、非常に重かった。Orbを使えば、画質はともかく、動きはだいぶマシになる(右の画面はモザイクをかけてあります)

 一方、音声は24kbps程度は出るので、充分実用になる。CD並のHi-fi音声とはいかないず、モノラルになってしまうが、ラジオ感覚で楽しめる。母艦PCに、MP3やPodcastのファイルをため込んでおけば、W-ZERO3を通じていつでも好きな音楽や番組を聞くことができるというわけだ。

 デジカメの画像も実用的で、自動的に画面に最適な大きさにリサイズしてくれる。1枚3MBもある一眼レフの画像も、30kbほどのQVGAサイズできれいに表示してくれた。

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↑事務所のPCに保存してある、中国取材の画像を参照

 よく分からないのは、上の画像にも見えている、ファイルブラウザ機能。これを有効にしておくと、母艦PCのすべてのフォルダにアクセス可能になる。母艦PCが、完全にファイルサーバとなるわけだ。便利なのはいいが、これでは"写真"や"ビデオ"などのメディアファイルの在処を、フォルダ単位で登録した意味がよくわからない。

 そういうわけで、Orbを使えば、事務所のPCに保存してある膨大なファイルを、いつでもどこでも参照できるようになる。もちろん、韓国から、事務所のPCにアクセスすることも可能だ。今まで、韓国に滞在しながら仕事をする時は、過去の写真データを保存したDVDを大量に持参していたが、これならノートパソコンひとつで世界のどこからでも必要なデータを参照できることになる。これは便利だ。

 もっとも、問題になるのはその安定性だ。「いつでもどこでも事務所のPCにアクセス」するためには、事務所のPCを四六時中起動させておかなくてはならない。現状のままで、そんなことをすれば、僕のPCは間違いなく熱暴走する。とりあえず、ケースの側板を取り外して扇風機を充てているが、今度は扇風機が壊れるかもしれない。

 また、正直に言って事務所のPCは、Orbが推奨するスペックには全然足りない。

 そろそろ、あの時期が近づいているということだろうか。