水野アスカの印税額

 はまりまくっている「風のハルカ」。今回の韓国取材では、連日朝が早かったので、現地では全然見られなかった。そんなわけで、帰宅してから通して見たら、アスカに印税が入っていた。

「月末に、印税が250万入ります」

 250万っすか! この金額から、アスカの小説がどれくらい刷られたのかを計算してみよう。

 現役女子高生で有名文学賞を受賞したという設定の、主人公ハルカの妹、水野アスカ。彼女のモデルは、「インストール」で文藝賞を受賞した綿矢りさと思われる。単行本版「インストール」の定価は、税込1,050円だ。

 印税は、文芸作品なら通常本体価格の10%だから、1冊100円。ということは、2万5000部か。えらく単純な計算だな。

 いや、アスカは、「250万入る」と断言していたのだから、これは源泉徴収差し引き後の額ということだろう。

 原稿料に対する源泉徴収額は、100万円までは10%だが、100万円を超える場合は20%+10万円が差し引かれる。だから、通常多額の原稿料が支払われる場合は、一回の振り込みが100万円以下になるよう分割するものだ。

 ともかく、今回は一括で振り込まれるようなので、そのまま計算してみる。振り込み金額を250万円、源泉徴収前の印税額を x とすると、計算式は、

2500,000=x-(1000,000*0.1)-((x-1000,000)*0.2)

 途中を省いて、Xの値を求めると

x=300万

 というわけで、源泉徴収額は50万円、刷り部数は3万部、というわけだ。

 初出時、100万円分の課税額10万円を二度加算して、計算を間違えていました。いかに、普段貧しい原稿料生活をしているかわかるというものだ。ご指摘くださったAさん、どうもありがとう。

 文芸作品で初版3万部刷るというのは、ほとんどあり得ない数字だが、「現役女子高生が書いた文芸賞受賞作品」ということで、売れると踏んだんだろうな。綿矢りさの「インストール」は50万部刷ったそうだから、決して無理な設定ではない。

 まあ、1,050円の本が50万部売れたら印税は5,000万円だが。それだとドラマが終わってしまう。

 普通の文芸書は、4,000~6,000部がいいとこで、印税も60~90万くらいにしかならない。売れっ子なら良いが、そうでなければ、生活していくのはけっこう大変なのだ。

 そういえば、そよかぜツーリストのデスクに、最近JTBのガイドブック以外に昭文社の「個人旅行」が見える。バランスを取っているのかもしれないね。

 とかいってる間に20万ヒット突破。ココログの解析では、まもなく25万ヒットになります。皆さんありがとう。