「独島は韓国の領土に決まっているじゃないですか。国際司法裁判? そんな必要はありません! 日本の意見を聞く必要なんてありません。独島は絶対韓国領です!」
韓国の人は、なんて頑ななんだろう。自分たちの意見がすべてで、他の意見は絶対に認めないというのだろうか?
ちょっと待ってほしい。実は、これは無理もないことなのだ。
もし、韓国政府が「佐渡島は、歴史的にも国際法的にも、明らかに韓国の領土である」と主張し、自治体が3月20日を「チュァドドナル(佐渡島の日)」と定めたら、どうだろう。日本人にとっては、佐渡島は疑問を挟むまでもなく日本固有の領土であり、いきなりそんなことを言われたら面食らうに違いない。「では、国際司法裁判所に提訴して、どちらの領土か判断を仰ごう」と言われれば、「誰の目にも日本領土と明らかなのに、どうしてそんな言いがかりをつけてくるのか。そんな必要はない」と思うはずだ。
竹島独島問題での韓国の一般市民の心理は、これに近い。
もちろん、佐渡島と竹島独島では事情が全く違うし、韓国が佐渡島の領有権を主張したことはない。あくまでも例えである。だが、韓国の人にとって、日本が竹島の領有権を主張するというのは、これくらいムチャクチャな話に聞こえている。子どもの頃から「独島は誰の目にも韓国領土と明らか」と教えられているので、「韓国領か日本領かで争うこと自体がおかしい」と思うのである。
韓国の人は頑なだ、別の立場からの意見を聞こうともしないと怒るのは、筋違いである。「日本人から見れば、竹島は明らかに日本の領土だ。そういう日本の意見も、尊重すべきだ」と言うと韓国人が怒るというのも、無理もない。
だからといって、相手の耳に心地良いように、「そうだよね、独島は韓国領だよ」と、適当に相づちをうつのもごまかしだ。僕の場合、相手が気分を悪くするのも覚悟して、言わなくてはならないところに、この問題の苦しさがある。
韓国の人から「独島についてどう思う」と訊かれたら、「ニュースなどを見て考えたことはあるが、正直よくわからない。韓国の人がどう思っているか教えてくれないか」と聞くのが、いちばんいい。一般の人が、相手を論破しよう、こちらの考え方をわかってもらおうと思っても、かえって溝が深まるばかりである。
コメント
今回といっていいのか「竹島独島問題」については、意識したことが皆無に近い。日本人の大多数はそうではないだろうか。私はそうでした。
が、今回の島根県の条例に関してはなんとも言いようが無く、はて?と考えてしまうことが多い。
内容も良く解っていないというのもあります。
自分で自分の足で調べるべきなのは解っているつもりでも、どうしても手短な情報に頼ってしまう。
マス・メディアに対しては私、かなり斜めな見方をしてしまいますので、鵜呑みにはしません。しかし、難しい。
どう捉えるべきか、どちらの方に寄ることなく中立の立場で考えられたら良いんですけど。
こんにちは。
ほとんどの人がそうだと思いますよ。僕自身、韓国に関心を持つまでは、問題の存在しか知りませんでしたから。
この日本人の無関心、戦前の経験から、国と国の領土問題はなるべくなら避けたい、国家間紛争で熱くなるのは恐いことだという認識もあるように思います。それだけじゃないですけど。
一方、それは韓国の人には非常に不誠実に見える。どうして自分の国のことを、真摯に考えないのか。避けようとするのか。昨日も書きましたが、これは全体主義によって国が滅びかけた経験がないからだと考えています。
こんばんは。
最近、このニュース、テレビなどでよく見かけますよね。
わたしは以前、韓国人の学生が「日本は好きだけど独島を自分のものって言わなければいいのに」
とインタビューに答えたのを見てなんだかとてもショックを受けました。
ちょっと考えてみればわかることなのに、「そうか、韓国では竹島は独島という名前で自国のものだと教えているんだよな~」
とあらためて思ったというか・・・。
領土問題は韓国以外にもありますが、日本国民って他国に比べてあんまり関心がない気がします。
ずいぶんと韓国よりのご意見を持っておられるのですね。
佐渡も明らかに日本でありますし竹島もまた明らかに日本領なのです。竹島を意識していない日本人が多いかのように言っておられますがそれは明らかに間違です。単にこれまで日本が冷静に対応してきただけのことなのです。いくら韓国やロシヤ、中国が日本の領土を実行支配(侵略)しようとも日本はこれまで通り毅然と理を通すだけです。貴君には日本人として自覚を強くもってもらいたいものです。
こんにちは。
誤解されてしまったようですが、このエントリは竹島問題そのものに対する僕の見解・立場を表明しているのではありません。そもそも、僕は竹島は日本固有の領土であると認識しています。
このエントリは、「どうして、竹島問題について韓国の人は議論にすら応じないのか」「一般的な韓国人はどういう認識を持っているのか」という、疑問に対する、韓国在住経験者としての見解、経験を記したものです。
また、これは2005年当時のエントリですが、当時、残念ながらこの問題に無関心である日本人は少なくなかったと記憶しています。念のために言うと、このことをもって、韓国側に分があるとは思っていません。
佐渡島をたとえに出したのも、「日本の主張はこれくらいめちゃくちゃだ」と主張しているのではなく、「相手にはこういう風に聞こえてしまっている」と述べたものです。
日本としての主張をする上でも、「相手がなぜそのような主張をしているのか」「相手がどう感じているのか」を知ることは、無駄ではありません。相手の思考・立ち場を知ってこそ、より実のある議論が可能になります。
もうひとつ念のために言うと、この場合の「相手の立ち場を知る」は、「相手の立ち場に同意する、賛意を示す」ということではなく、「客観的に認識する」ということです。
「韓国人の立ち場」が書かれているからと「韓国人寄りの意見だ」と断じるのではなく、内容をよく読んでいただければと思います。
僕としても、よりわかりやすく書くように務めます。基本的に、こちらの文意がうまく伝わらなかっただけで、コメントをくださった方と意見の相違はあまりないと思いますよ。