写真を撮りに南漢山城へ

 南漢山城に、写真を撮りに行ってきた。

 プロのカメラマン並とはとても言えないが、編集カメラ*を超えたレベルの写真は撮れると自負していた僕だったが、ここのところその自信が崩れている。李氏朝鮮王朝の儀式ではぼけぼけの写真を連発し、遊園地では強烈な西日と大規模な改装工事に対処できなかった。

 今日は、名誉挽回のチャンスである。南漢山城は、李氏朝鮮時代の17世紀前半に築かれた山城だ。後金(後の清)の侵略を受けたときには一時国王がここへ避難するなど、歴史的に大きな意味を持つ遺跡である。深い森に包まれた山の中にあり、城だと一目でわかる写真を撮るのはなかなか難しい。狙うは、唯一朝鮮時代から残る見張り台、守御将台。バスを乗り継ぎ、タクシーに相乗りし、3時間かかって登山口に着いた。ここから山道を歩いて登る。

 案内図で道のりをしっかり確認し、一眼レフとレンズ2本、三脚を担いで登山開始。ゆるい坂道を歩くだけだが日差しが強く、機材を持つ身にはけっこう応える。汗をだらだら流しながらしばらく登ると、城壁にたどり着いた。かなり古そうな壁もあるが、草木に包まれなかなか上手く撮れない。城壁から麓の眺めを撮ろうにも、靄がかかってよく見えない。

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 しょうがない。使う写真は1枚くらいだから、守御将台をきっちり撮りさえすれば良いだろう。坂を登っていくと、やがてそれらしき屋根が見えた。太陽の向きもばっちりだ。これは、きれいな写真が撮れそうだ。

 着いた。
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 「守御将台は保守工事のため、しばらく立ち入りを禁止します。ご不便をおかけし、申し訳ございません」。

 先に言ってよ……_| ̄|○。

編集カメラ
ライターや編集者が取材のついでに撮影するためのカメラ。写真が重要でない誌面なら、そのまま使われることも多い。