第7回鉄旅オブザイヤー授賞式

大宮の鉄道博物館で、今年で7回目となる「鉄旅オブザイヤー」の授賞式が行われた。昨年1年間に国内で販売された、国内の鉄道に関連する旅行商品(募集型/受注型企画旅行)を対象としたアワードだ。縁あって、第1回から審査員を務めさせていただいている。

今年は、旅行会社部門は16社から114作品の応募があった。昨年は同16社、106作品だったから、過去最高の応募だ。アマチュアの方が自由な発想で旅行商品のアイディアを競う一般部門は、昨年の応募13作品から60作品に大幅増。授業の一貫として応募を行う専門学校も出てきたそうだ。

審査は、まず実行委員会による一次審査で18本に絞られ、僕たち13人の審査員が、企画性、オリジナリティ、鉄道力、コストパフォーマンス、非鉄誘引力、ベストセールスの6項目について、それぞれ10点満点で評価して総合得点を競う。一次審査通過作品は、それぞれに心に響くところ、あまり響かないところがあり、普通に採点すると差がつかない。心を鬼?にして、思い切った得点の加減が必要だ。

さて、今年のグランプリ作品は、クラブツーリズムJR販売センター大塚雅士さん企画の「通常は運行していない貨物線も走行!お座敷列車「宴」利用 東京・神奈川・千葉の一都二県貸切列車でぐるり周遊・日帰りの旅」。

タイトルだけ見るとやたらと長いが、一言でいえば「首都圏の貨物線をめぐるお座敷列車」。

池袋駅を出発し、山手貨物線、新木場のりんかい線・京葉線渡り線、新金線、常磐貨物線、高島貨物線(横浜)を経由して品川へ、というルート。ツアーを企画した大塚さんは子供の頃からの鉄道ファンで、長年温めてきた企画だそう。JRの担当者に何度も断られたが、担当者が変わってようやく日の目をみたという。社内でもどれだけの集客力があるのか疑問視する声があったが、毎日新聞デジタルの記事がYahooに掲載されると、あっという間に完売。最終的に4回催行して570人を集客し、600人ものキャンセル待ちが出るというヒット商品になった。

ジョイフルトレインで首都圏の貨物線をまわるというと、個人的には1993年に運行されたレイルウェイ・ライター種村直樹20周年記念列車を思い出す。そのため、以前からあった企画のように思えて、最初は無難な得点にしかけた。だが、売上1300万円、キャンセル待ち600人という実績を知って、採点しなおした。「好き」が仕事に結びついた、素敵な事例だ。(僕が参加したいので)今後も継続してほしい。

アマチュアによる一般部門の最優秀賞(ベストアマチュア賞)は、吉田直哉さんによる「山陰本線でめざせ!途中下車の達人」。

山陰本線を出雲市駅から江津駅まで15〜25人で乗車し、次の駅に着くまでにじゃんけんを実施。負けた人は強制的に途中下車させられ、次の列車まで街歩きを楽しむ……というもの。

普段は箱根に勤めており、通勤で毎日スイッチバックを行き来しているという吉田さん

これは、吉田さんの母校である千葉大学鉄道研究会で、40年にわたって毎年夏休みに実施しているイベントだそうだ。というか、こちらも強い既視感がある。レイルウェイ・ライター友の会で毎年のように実施していた、「汽車旅おにごっこ」や「レールラリー」などの汽車旅ゲームとそっくりではないか。

こうした作品が最優秀賞をとるとは、いよいよ時代がレイルウェイ・ライター種村直樹に追いついてきたということか。

正直にいえば、この企画を企画旅行として実現させるにはかなり高いハードルがありそうだが、こうした遊び心いっぱいの汽車旅アイディアが紹介されるのは嬉しい。来年は、審査員を辞退して、「山陽道中膝栗毛」とか応募してみますかね。元「高2パワー」の皆さん、来年の「ベストアマチュア賞」はいただきですよ!(何のことだかわからない方ごめんなさい)

グランプリを獲得したクラブツーリズムの大塚雅士さん

さて、今年はクラブツーリズムがグランプリを獲得した。クラツーが優勝するのは、2014年度の「『ななつ星in九州』と『飛鳥Ⅱ』夢の競演大地と海をめぐる豊穣の九州 」以来2度目だ。DC(ディスティネーションキャンペーン)賞も2年連続で同社の増成宜迪さんが獲得しており、クラツーの躍進が目立った。僕は、昔クラブツーリズムの文化講座で「大人の青春18きっぷ講座」を何度かやらせていただいたことがあり、クラツーのフットワークの軽さと風通しの良さを感じていた。鉄旅オブザイヤーは、これまでJTBと日本旅行の二強状態だったが、来年以降、一層面白くなりそうだ。

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