「太陽商店街の親子」も、そろそろ親離れ、子離れの時期である。最近は、二人が一緒にいるところをほとんど見なくなった。
今日も、いつもの場所でガフガフ夜食を貪っていたのは、息子だけ。
おい、あんまり慌てて喰うなよ。喉に詰まるぞ。
「!」
だいぶ大きくなってきた。
断っておくが、この餌をやったのは僕ではない。僕は、いくら知り合いでもノラネコには食いもんはやらない主義である(困ってる奴はこの限りでない)。
かわいいから、とあげたくなる気持ちはわからないでもないが、実はあまり本人のためにならない。自ら食べ物を探し出す能力が鈍ってしまうし、何より周辺住民から反感を買うおそれがある。人は、ネコ好きばかりではない。
快く思わない人の怒りの矛先が、食いもんを与える人物に向けばまだいいが、問題はかなりの確率でネコ本人に向けられてしまうことである。酷いケースになると、殺虫剤を大量にまいたり、保健所に通報する人もいる。
だから、僕はノラネコに食いもんは基本的にやらない。例外は、「おかあちゃんとはぐれちゃってお腹がすいたよう」、とか言ってる奴だ。そういう輩は、別の意味で非常に困る。
さて、写真に写っているエサは、近所のいわゆるネコおばさんが毎晩与えているものだ。毎晩温めたミルクとなまり節などの魚を与えると、30分後に戻ってきて残飯と器を回収していく。
終電前後にここを通ると、酔っぱらいやホームレスによってばらまかれたキャットフードが散乱していることがあるが、明け方、初電で通ると、まずきれいである。おばさんが毎晩掃除しているのだろう。
しかし、こいつは親離れの時期というのに、未だに毎晩ここでおばさんを待っている。このまま特定の人間に甘える半人前の大人になってしまうのだろうか。心配だ。