日本語に対応している、チベット博物館

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 チベット博物館にやってきた。先史時代からの、チベットの歴史・文化・自然を紹介する、大型の博物館だ。

「くりはらさん、ここは、日本語の音声解説機があるんです。とても便利ですよ。ぜひ試してみてください」

 一昔前の携帯電話のような、がっしりした端末を渡された。操作してみると、日本語のネイティブによる、きちんとした解説が聞こえる。ちゃんとした機械のようだ。やるなあ、ラサも。

「あのう、僕はちょっと外で休んでいますので、1時間ほど見学してきてください。ゆっくりでいいですよ」

 さっきまで、熱心に解説してくれたDくんが、ここでは外で待つという。たしかに、一日中日本語を話し詰めで、少し疲れたのかもしれない。わかった、ゆっくり休んでて、と言って、一人で中へ。旧石器時代から始まる、チベットの歴史をたどっていく。音声解説機から聞こえる日本語は、実に正確だ。

『……この写真は、中国政府とチベット族双方の代表による、チベット平和解放に関する17条協議の調印式の様子です。この条約の締結は、チベットを帝国主義的勢力から解放し、新しい時代を迎える、まさにチベットにとって画期的な出来事となりました……』

 外へ出ると、Dくんと、漢民族の若いドライバーが雑談しているのが見えた。普通の、友だち同士といった雰囲気だ。

 ふと、韓国の近代史が頭に浮かんだ。チベットか。ちょっと、興味がわいてきた。