新婚家庭に突入

 昨年12月に結婚したキムガンシクの新居にお邪魔した。

 水原の隣に位置する華城市は、アパート(マンション)の建設ラッシュが続く、新興住宅地だ。ガンシクのアパートに向かう道筋には田畑が広がり、100万都市の水原のすぐ隣とは思えない。数年経てば、ここも大きく景色が変わるに違いない。

H0002 部屋からの眺め。数年後には、マンションがびっしり林立しているはず

 ガンシクの新居は、新築マンションの16階にあった。玄関のドアをあけると、そこはいきなりリビング。韓国は、日本のように玄関と部屋の間に廊下を設ける習慣があまりない。来客から部屋が丸見えになる一方、リビングのスペースを広く使える利点がある。

 間取りは、日本流に言うなら3LDKといったところ。引っ越してきたばかりとあって、まだがらんとしているが、リビングの中央には40インチあまりのプラズマテレビが鎮座している。幸せな新婚生活を送っているようだ。

 夕飯は、ガンシクの嫁さん手作りの、テグタン(鱈鍋)。
 彼女は日本語がわからないので、会話は関西弁と韓国語の奇妙なチャンポンになる。

ガ「くりはらさんも、はよ結婚せなあかんよ。相手みつけてさあ…」

 いきなり来た。これだから新婚は困る。

僕「いや、僕は明日も、女性とお食事ですから」
ガ「おっ、それは、デート? まったくもー、それを続けないと」
僕「仕事でお世話になった観光協会の人とご飯を食べようっていう話で」
ガ「ご飯食べてるだけじゃあかんでしょう」

 今日のガンシクはいつになく容赦ない。結婚とは、人をこうも変えるものか。

彼女「でも、最初はみんなそういうものじゃない?」
ガ「いや、くりはらさんは、"最初"で終わりだから。いつも"最初"だけじゃあどうしようもない」

 全く裏切られた気分である。ほんの2年前、「独身乾杯」と飲み明かしたのは、いったい何だったのだろう。

 勝ち目はないのでとにかく話題の変更を試みる。彼女は、すでにお腹の中に子供がいるから、そこがねらい目だ。

僕「赤ちゃんはどう? 男の子か女の子かは、聞けないんだったっけ」

 韓国には、医者は生まれてくる子供の性別を予め伝えてはいけないという法律がある。家系を重んじる韓国では、女の子とわかった時点で堕ろしてしまうことが考えられるかららしい。

ガ「まあ、そうなんやけどね。でも、お医者さんが"よく聞いてください、お×さんのほうに、よく似たお子さんですよ"って。だから、もうどっちかはだいたいわかってる」。

H0001_2 お父さんの夜の楽しみといえば、やっぱり巨人戦

 食後は、リビングで果物やビールをつまみながら、SBSスポーツで巨人対ソフトバンクを観戦して過ごす。王がどうした、長嶋は、といった話しをしているうちに、イスンヨプの勝ち越しツーランが飛び出した。

「やったー!」

 いったいここはどこの国なのか。

 巨人戦が終わると、今度はKBSで冬ソナシリーズの完結編「春のワルツ」が始まった。放送開始5分で交通事故発生、さらに30分後には手術で×××が××××××××××というユンソクホな展開がすばらしい。このシリーズは、韓国でももはや「画面につっこみを入れながら鑑賞する」のが正しい視聴法になっているようだ。

 そんなわけで、華城の夜は更けていくのであった。

コメント

  1. kim kang sik より:

    栗原さん
    今度は一人じゃアカンよ。
    また韓国に着いたら連絡してください。
    その時は打ち一人増えているかも知らんので
    プレゼントは忘れずに。ハハハ
    ほなね。

  2. かんりにん より:

    _| ̄|○