親父とパソコン

 親父がWindowsを使うようになって5年くらいになる。
 建築設計の仕事をしているのだが、どこかでこれからはCADを覚えなくては仕事にならないらしい、と聞いてきて、パソコンを始める気になったようだ。
 CAD、つまり建築設計ソフトには、昔からJW-CADというオンラインソフトがある。十分仕事に使える機能と品質を備えるにもかかわらずフリー(無料)、というとんでもないソフトで、Windowsではなく、その先祖のMS-DOS用というのもとんでもなかった。
 アパートの押し入れに散乱していた使い古しのパーツをかき集めたら、ちょうど1台パソコンができたので、秋葉原の露店でモニターを7000円くらいで買って親父にあげた。Am486-DX133という、とんでもなく時代遅れのPCだったが、DOS用アプリケーションには十分なスペックだった。
 それから、僕が韓国へ行くまでの間、親子の間にはPCの話題しかなかったように思う。
 会社をやめて韓国に行く、という話をいつしたのかは覚えていないが、PCの話ならたくさん覚えている。
 一言で言えば、世の中のサポセンのみなさまの苦労が、少しわかったような気がした。
 何しろ、Windows95のことを「きゅうじゅうごねんがさあ」などとおっしゃるのを改めていただくのに、1年くらいかかったのだ。
 なるべく自分で考えて、試行錯誤していただかないと覚えないので、考えればわかるはずのことには答えず、必要なことだけ答えるという方針を徹底した。
 で、今親父の仕事場には製図台がない。
 すべての仕事を、JW-CAD Windows版でやっているそうだ。
「ちょっとファイルをあれしようと思って、フロッピーにあれしたんだけど、なんだか変でさあ」
 羽田孜のような質問に答えるのは、今でも難しい。
 でもって、今日。
 「ちょっと打ち合わせの合間とか、外で時間が余ることがあるんで、そういう時に図面をかきたくてサ」
 親父は、サブPCとしてノートパソコンを購入した。なんと、IBMのThinkPadである。
 生意気だ。

コメント

  1. makoto より:

    はじめまして。makotoと言います。
    パソコンの事を何も知らない人に、あれこれ説明するのは、本当に疲れますよね!
    私が勤務している会社は、“事務員がPCを使えない”という、とんでもない所です。。
    唯一できるのが、メールを開いて印刷すること。
    メールへの返事はできないので、そのたびに呼ばれます(泣)
    クリハラさんのご苦労...本当によく分かります^^;;
    それと私も韓国が大好きなので、これからも こちらのブログに遊びに来させていただきます。

  2. かんりにん より:

    こんにちは。はじめまして。
    お仕事でなら、なおさら大変でしょうね…。
    僕はまあ、遊びの範囲ですし、イヤならいやと言える程度の話ですから。
    ぜひ、また遊びに来てください。