神社≠靖国神社

 留学生の友人と、年末年始の話になった。
 元旦、予定がないなら、日本の初詣を見に行ってみない?
「あー……、でも、あたし、神社には行かないことにしているんです。友だちも、韓国人として靖国神社に行ってはいけないって」
 というわけで、神社=靖国神社と思っている韓国人はけっこう多い。
 韓国で報道される「神社」の話題といえば、小泉総理の靖国参拝しかないのだから無理もない。「靖国」が省略されて、「小泉の神社参拝」と表現されることもしばしばだ。
 靖国と普通の神社の違いを簡単に説明した。靖国神社は、戦争で戦って死んだ軍人を祀る特別な神社で、普通の神社は、その地域を守る神様がいるとされている、だから、普通の神社を参拝しても「軍国主義・日本」とは何の関係もない。
 ここまで言って、自分が靖国と一般神社の違いを正確には知らないことに気づいた。後で勉強しておかなくては。
 夜、サンフランシスコから韓国へ帰る、在米韓国人のポール・キム氏と会う。チンジルバンのような、安く泊まれる施設を紹介してほしいということで、新宿のカプセルホテルに案内した。
 チェックインが終わり、歌舞伎町で食事。在米歴20年のポール氏は韓国語と英語両方のネイティブで、しばしば突然英語が混ざる。
「プレジデントコイズミの靖国神社訪問が、韓国では問題になっていますが、日本の一般の方はどのように思っていらっしゃるのですか……」
 やはり、靖国参拝は韓国人にとって大きな関心事らしい。
「賛否両論ですが……。少なくとも、小泉総理は “日帝時代” を懐かしんで参拝しているわけではないと思います。戦争の責任は “A級戦犯” だけにあるわけではありませんし、国を信じて死んだ人を、 “あれは悪い戦争だったから、今の政府はもう関係ない” と言ってしまうのは、どうなのかな、と。韓国や中国の人から見ると、奇異に見えるのも分かりますが……」
 それなりに考えているつもりだが、やっぱり答えにくい。