韓国での「漢字ブーム」

J-WAVE聞きながら仕事中。
 菅原正志のJAM THE WORLD、韓国最新情報今日のテーマは、「韓国の漢字学習ブーム」。韓国では、小学1年生の2学期から漢字の学習が始まり、卒業までに約1800文字を学習するのだそうだ。だがいくら学校で漢字を習っても、韓国の実社会ではほとんど使う機会がないのだから、卒業して数年たてばほとんどは忘れてしまう。
 かつて、ソウルで日本語講師をしていたときのこと。「お試し受講」に来た40代のおばさんから、なぜ日本人は漢字などという面倒なものを使うのか、と質問された。ハングルのように、ひらがなで全部音を表現できるのなら、それで充分ではないかと。
 その質問に答えるのは、難しかった。日本人は、文字自体に意味がある漢字を使うことによって、文章を見ただけで瞬時に意味を理解できるし、微妙なニュアンスを使い分けている。たとえば「王子様」は青年か大人の王子のイメージだが、「王子さま」というと子どものイメージだ。同音異義語の間違いも少ない……。
 そんな風に説明したが、おばさんにはなかなか理解できなかったようだ。無理もない。日本人から見ると、「ひらがなだけ」に等しい今の韓国語は不便に見えるが、当の韓国人は文脈から意味を類推することに慣れていて、別に不便は感じていないのだ。
 地下鉄駅に漢字の表記が入るなど、一時期に比べて韓国では漢字を見直す機運があることは、僕も実感している。社会人や年配の人の間でも、改めて漢字を学ぼうとする人が増えているそうだ。
 だが、韓国の街角に普通に漢字があふれる日は来ないだろう。すでに、韓国は漢字を必要としない社会ができていて、漢字は日本や中国と付き合うための国際文字になっている。
 僕ら日本人が、「韓国でも、ハングルだけじゃなくて漢字も使えば、便利なのに!」と思うのと同様、韓国人も「日本でも、漢字を使わなければ読み書きがもっとラクになるのに!」と思っているかもしれない。これが、文化の違いというやつなのだろう。

コメント

  1. min より:

    こんばんは。
    ドトーリコーヒーで検索しこのサイトを発見。
    以来、かげりさんの更新を楽しみにしてます。
    韓国人が漢字を読めないって、本当なんですね。
    旅行に行ったとき、かなりカルチャーショックでした。
    垢擦りエステへ行き(←ベタででしょ・・)、20代とおぼしきお姉さんに「次は景福宮に行きたい」と漢字を見せたら、流暢な日本語で「何これ? 私漢字読めない」と言ったのにびっくり。「お前、世界遺産だぞ~! 自分の国の宝をハングルでしか読まないのか~!!」と思い、ちょっと、寂しい現実だなと思いました。
    それってとっても日本人的視点だったのですね。

  2. かんりにん より:

    minさん、こんにちは。ありがとうございます。
    アカスリエステ、良いと思いますよ。
    今度は、チンジルバンでのんびりしてみてください(^^)。
    「景福宮を漢字で読めないのか!」っていうのは、あながち日本人的視点とも言い切れないかもしれませんよ。景福宮などの王宮は、ハングルをほとんど使っていなかった時代の遺跡ですから、ウリナラの歴史として漢字表記を知っておいてほしいものです。
    で、せっかく書いて頂いたのに、これはまことに心苦しい指摘になりますが……、景福宮は、世界遺産ではありません(^^;
    ソウル市内にある世界遺産は、昌徳宮と宗廟です。お気を悪くされたらすみません。
    また遊びにきてください。これからもよろしくお願いします。