新宿駅での再会

 中野で父親に会ったあと、小さなラジカセを買いに新宿へ。
 新宿駅のホームに降りると、向かいに特急「わかしお号」が停車していた。今では珍しくなった、183系国鉄型塗装車だ。おもむろに一眼レフカメラを撮り出し、何枚か写真を撮った。僕は、電車のことはよくわからないが、このデザインはやはり懐かしい。この車両も10月から新型のE257系500番台に順次置き換えのはずである。
 少し時間をくってしまい、早足で階段を上る。南口改札の手前まで来たところで、声をかけられた。
「クリハラさんじゃありませんか?」
 振り向くと、さっぱりした感じの若い男性が立っている。どこかで見た人だ。えーと。思い出せない。出版関係の人ではない。韓国で会った人かな?いや、それも違うな……。
「ほら、中国で会った……」
 思い出した! 2001年8月、中国の烏魯木斉で会い、一緒に天池のカザフ族の村へトレッキングに行ったTくんだ。バックパッカーの弟さんと二人で、ヨーロッパまでユーラシア横断の旅をしていた。このサイトのマイフォトにも、顔がわからない程度に何枚か写っている。新疆ウイグル自治区に入って戸惑う僕を、ずいぶん助けてくれたものだ。今は都内で働いており、弟さんは職人を目指しているそうだ。名刺を渡して、今度ゆっくり会う約束をした。帰って来るなり、運がいい。