地下鉄車内のジャズ演奏

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「皆さん、メリークリスマス。お騒がせしてすみません」
公州の取材からソウルに戻り、家路についた地下鉄3号線。
狎鴎亭で乗ってきた男女の二人組が、大声で口上を述べ始めた。よくいる、物売りかな。いや、男のほうは外国人だから、また国際福祉活動とかいう募金活動だろうか。よく自称日本人留学生もやってるけど、あれはどういう団体がやっているのだろう…。
「彼は、世界30カ国を旅し、今は韓国で暮らすようになった世界旅行者です。サックスの演奏だけでお金を稼ぎ、世界を見てきました」
なるほど、そういう手合いだったか。日本でもたまにそういう外国人を見掛ける。
「これから、この電車はジャズクラブになります。お忙しいとは思いますが、どうぞジャズのひとときをお過ごし下さい」。
女性がそう言うと、男性はサックスをケースから取り出し、演奏を始めた。電車は地上に出て、漢江を渡る。東湖大橋を照らすライトが次々と窓の外をよぎり、車内にサックスの音色が響く。決して上手ではないが、洒落たムードが漂った。カップルたちからも、「わあ、すてき」という声が漏れ聞こえる。僕はカメラを取り出し、彼の演奏を残り少ないメモリに収めた。
気が付くと、降りるはずだった薬水駅を過ぎていた。まあ、鍾路3街で1号線に乗り換えれば良いだろう。帰国日が迫る中、あわただしい取材をこなして疲れた僕に、この演奏は一服の清涼剤となった。女性が帽子を手に車内をまわり始めたので、僕も1000Wをカンパする。彼女の手には、大事そうに握りしめたパンフレットの束が。きっと、彼のプロフィールなんかが書いてあるのだろう。すみません、そのパンフレットもくださいますか…。
「はい、どうぞ。ご興味がおありでしたら、ぜひご連絡ください」。
そう言って渡されたパンフが、これ。
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ラエリアンであった。

基礎知識
ラエリアン・ムーブメント
フランス人のラエルなる人物が指導する団体。「世界最大のUFO関連非営利団体(HPより)」。「世界90ヶ国において、60,000人以上の会員が宇宙から来る人々を迎えるために、初の大使館建設に向かって動いている(同)」そうだ。世界最初のクローン人間誕生に成功したと主張するクローンエイドも、ラエリアンの関連団体。

コメント

  1. 書記長 より:

    ヲチが素敵でした。ヽ(´ー`)ノ