【再録】自転車のいる街

※この記事は、2007年10月19日にスペースアルク「韓国まろん紀行」で発表したものです。

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韓国の人は自転車に乗らない、と言われる。

韓国では、公共交通機関が安い上、住宅地の隅々までマウルバス(町内バス)が頻繁に走っているから、わざわざ自転車に乗る必要がない。元々両班文化の国であるせいか、自転車であくせく動くのを“はしたない”と見る風潮もあるようだ。

ゆえに、韓国では自転車をほとんど見かけない……。

というのは、よく聞く話。しかし実際に韓国の街を歩くと、意外に自転車は多い。

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特に自転車をよく見るのが、在来市場だ。京東市場などを歩くと、クロスバイク風の自転車に荷物を提げたおじさんおばさんをよく見かける。

場内の業者が、ちょっとした荷物の運搬に使うこともあるが、一般の買い物客が自転車に乗る光景も増えている。昨今の公共運賃の値上がりや、健康ブームが背景にあるようだ。スポーツサイクリングもブームで、マウンテンバイクやロードレーサーをさっそうと乗りこなす人も多い。

さて、韓国の地方を旅していると、ソウルよりも頻繁に自転車を見かける。特に多いのが、新羅の都として有名な、慶尚北道・慶州だ。

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この町は、バスターミナル周辺を中心にレンタサイクルの店がたくさんある。慶州市内には、世界文化遺産に登録された史跡が数多くあるが、歩いてまわるには広すぎ、タクシーをチャーターするには狭い。そこで、レンタサイクルが普及しているというわけだ。自転車で軽快に散策する観光客を見慣れているせいか、地元の人が自転車に乗る姿も珍しくない。

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全羅南道の木浦も、自転車の多い街だ。日本統治時代の町並みが残る旧市街には、商店街の中に、自転車専門店が当たり前のような顔をして並んでいる。自転車で配達に出かけるおじさんもいて、昭和30年代の日本に迷い込んだような気分になる。

そういえば、済州島にも、あちこちに公共の自転車置き場があった。「健康のため、自転車を利用しましょう」という標語を目にしたこともある。いずれも、ソウルではまず見かけない光景だ。

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南に行くほど、自転車が増える。日本の文化圏に近づくからだろうか。そういえば、韓国南部の方言は、西日本の方言に語感が似ているような気もする。

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