【再録】踊り出す人々

※この記事は2007年8月17日にスペースアルク「韓国まろん紀行」で発表したものです。

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慶尚南道の統営から、海金剛をめぐる遊覧船に乗った時のことだ。リアス式海岸ののどかな風景をたっぷり楽しもうと、出港前から外を眺めていると、いきなり安っぽいシンセドラムの音が鳴り響いた。

〜スポポンポンポン!!

びっくりして振り返ると、十数人のおじさんおばさんが、船内で踊り出している。ステージがあるようなクルーズ船ではない。人がすれ違うのがやっとの、狭い定期遊覧船である。言っておくが、まだ出港していない。

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あっけにとられていると、踊っていたおじさんの一人が、僕に何かを差し出した。

ソジュジャン(おちょこ)だった。もちろん、もう片方の手には、焼酎が握りしめられている。

結局、おじさんたちはほとんど船に乗っている間中、踊り続けていた。船酔いする人が皆無だったのが、信じられない。

その後、各地を歩きながら、至る処でこうした踊るおじさん、踊るおばさんに出会ってきた。仁川の月尾島、鎮海の軍港祭、ソウルの南山コル韓屋村……。

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最初のうちは、なんとまあ恥ずかしい……と思っていたのだが、あちこちで目にするうちに、印象が変わってきた。せっかくの休日、楽しむ場に来たのだから、めいっぱい楽しもうじゃないか。そんな韓国の人たちのネアカな性格がよく出ている。日本人だったら、いくらお祭りでも、人目を気にしてこうは行かないだろう。なるほど、韓国にはストレス症をわずらう人が少ないわけだ。

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もっとも、いまだに解せないこともある。たとえば、こうした観光地やお祭りに必ず現れる、女装おじさん。単にオカマさんを演じているのではなく、必ずイベントの司会をやっている。司会の腕もまちまちで、お客をノセて場を盛り上げる人もいれば、単純にドン引きさせるだけの人もいる。

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こうした人々を眺めるのも、最近の楽しみのひとつだ。いつか、自分もあの中に飛び込んでしまうのではないかと、それだけが心配である。

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