廣済堂電子書籍「BookGate」が最悪の撤退発表

廣済堂が、自社で運営する電子書籍サービス「BookGate」を、8月31日限りでサービス終了することを発表した。

電子書籍はKindleが一人勝ちで、AppleのiBooksと楽天のkoboが辛うじてそれなりの知名度を得ているものの、その他はどこも厳しい状況にある。

そんな中での、BookGateの撤退。

市場から淘汰されるサービスが出るのは仕方がないが、問題はその去り方だ。

BookGateは、「購入」済みのコンテンツについて、9月1日以降は再ダウンロード不可で、他社サービスへの引き継ぎもしなければ、購入代金の返金等の対応もしないという。今ある端末が壊れたり機種変したら、有料で「購入」した電子書籍は跡形もなく消えてしまう。

電子書籍サービスの撤退については昨年、ヤマダイーブックが「サービス終了と同時に購入済みコンテンツも閲覧不可に」「他社サービスへの継承なし」を発表して大騒ぎとなったことがある。ヤマダ電機は「購入済みの書籍は新サービスでも読めるよう調整する」と訂正したが、「新サービス」である「やまだ書店」は、未だにとても商用電子書籍サイトとは思えない状況だ。

10月にはTSUTAYAも、TSUTAYA eBooksのサービスを終了した。こちらは、購入済み書籍は凸版印刷の「BookLive!」に移行し、移行できないコンテンツは購入額相当分のTポイント付与という対応で、ヤマダほどの炎上騒ぎにはならなかった。

廣済堂BookGateは、ヤマダイーブックに限りなく近い、最悪の対応といって良い。故障、機種変した場合は確実に読めなくなり、サポートが打ち切られるので、OSをアップグレードしただけで動作しなくなる可能性がある。

廣済堂は、ヤマダの騒動から何も学ばなかったのだろうか。

BookGateのTwitterFacebookアカウントは、昨年3月から全く更新していない。それどころか、4月20日20時現在、プレスリリースとアプリ上の告知以外は全く知らんぷりで、BookGateのサイトにも何も書いていない。

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4月20日21時現在、終了についての告知なし

会社としては、とっくにやる気を無くしていたのだろう。それにしては、昨年秋から「東海道新幹線開業50周年」と称して復刻版時刻表を宣伝していたが、どういうことなのだろうか。

廣済堂といえば、60年以上の歴史がある出版・印刷の老舗企業だ。その企業が、電子書籍への信頼を根底から覆すような撤退をすることに、強い憤りを覚える。

「これだから電子書籍は」とぼやくだけでは済まされない問題だ。

廣済堂のこれからの対応について、注目していきたい。