丸田祥三氏”棄景写真剽窃被害”訴訟、和解協議不調に終わる

この訴訟の経緯や詳細については、当ブログのこちらのリンクに飛び、下の記事から順にお読みください。

 しばらく音沙汰がないなと思っていた、「丸田祥三氏"棄景写真剽窃被害"訴訟」。原告の丸田氏が、和解協議が不調に終わり、判決公判が12月21日に行われることを自身のブログで明らかにした。

判決延期の経緯

 この記事は、原告側の解釈で書かれているので、ここでは客観的な事実を抜き出してみる。

  • 裁判所から和解勧告を受けた。
  • 丸田氏は、もし原告敗訴となった場合、盗作容認の前例となることを危惧し、和解交渉に応じることにした。
  • 被告の小林伸一郎氏の代理人は、和解案として丸田氏が自身のブログ(裁判についてのブログではなく写真作品を発表しているブログ)を閉鎖し、第三者による
    検証ブログや、小林氏に批判的なブログについても削除させること、トークイベント「盗作かもしれない」を開催したことについて謝罪、動画を削除することな
    どを求めた。

 丸田氏側が提示した和解案はこの記事には書かれていなかったが、丸田氏の友人である切通理作氏がTwitter上で言及していた。その内容を引用しする。

risaku
切通理作

      
「お金も謝罪もいらない、ただ当該写真が掲載された同じ本のどこかに丸田氏を参考にしたと記してもらいたいということだった」

 また、切通氏は、小林氏側の和解案について、丸田氏が記さなかった内容についても言及している。

risaku   切通理作
「小林伸一郎側の出した和解案は写真家として丸田氏が著作を持ち活動していることを認める、(中略)あとは丸田氏側に、盗作問題について書いたブログやネット記事、動画などを本人が書いたものでないものも含めて削除しろという要求だった」

risaku   切通理作
「丸田氏は(中略)自分が書いた記事に関しては、小林氏側にチェックしてもらい、問題があると指摘された部分に関しては削除や変更も射程に入れて検討する、と返答した」

 しかし、結局協議は平行線をたどる。丸田氏のブログの要約に戻ろう。

  • 被告側は当初代理人のみ出席していたが、裁判長から本人出席を求められ、5回目ごろの協議に初めて小林氏自身が出席した。
  • 小林氏は、"先行して作品を発表した原告に敬意を表しては"という裁判所側の提案を拒否した。
  • その日をもって、和解協議は打ち切りとなった。

 丸田氏の記事から読み取れる事実関係は以上。

 裁判所側の提案や、小林氏側の「第三者のブログ等を削除させよ」という要求は、僕自身が直接見聞きしたわけではないので、100%この通りのニュアンスだったかはわからない。だが、その分を割り引いて見ても、小林氏側の主張・対応は相当に強硬、高圧的という印象を持つ。

「丸田氏が著作を持ち活動していることを認める」というのは、そもそも被告が認定するような筋合いの事柄ではないし、本件の争いとも無関係だ。

 「丸田氏は自身のブログを削除し、第三者が記したブログ等についても削除させる」というのも、仮にこの通りのニュアンスだとすれば、原告はとうてい飲めない。検証サイトは丸田氏の要請で制作されたものではないし、言論の自由を侵害するものだ。

 できるとすれば、「被告側と和解したので、今は争いがない旨と、できればその経緯を掲載してほしい」と"お願い"することくらいだろう。もっとも、法廷にいなかった僕の立場では、被告側の提案が実はこの程度のニュアンスだった可能性も否定できない。

 被告側の強硬な態度は勝訴を念頭に置いたものと推測され、極めて残念だ。訴訟上のテクニックに終始している印象で、「誤解を解く」誠意が感じられない。

 一方、原告側提案の「当該写真が掲載された書籍に丸田氏を参考にした旨を記す」という内容も、被告には飲めないだろう。金や喧嘩目的ではないという丸田氏の心意気はよくわかるが、謝罪や賠償はなくても、これは「盗作を認めよ」ということに他ならない。是非はともかく現時点の被告の立場では応じられないと思う。

 ともかく、和解協議は物別れに終わった。判決公判は、12月21日16時から、東京地方裁判所627号法廷で行われる。

 都合がつく限り、僕も傍聴に行くつもりだ。