先端巨大症2:甲状腺のう胞

1:首もとの腫れから

 2月18日。K診療所で週1回、甲状腺疾患を診ているT医師に、首もとの腫れを診察してもらった。30代くらいの、さっぱりした雰囲気の女性医師だ。

「甲状腺腺腫が考えられます。詳しく調べてみましょう」

 腺腫とは、腫瘍のことだ。
 その週から何度も病院に通い、詳細な検査を行った。超音波検査に血液検査。腫れに巨大な注射を刺して組織を吸い出す、組織検査も行った。その結果、腫れの中身は悪性腫瘍などではなく、大部分が液体であることが判明した。

「何らかの原因で分泌液が溜まる、"甲状腺のう胞"と思われます。今のところさほど心配はありません。ただし、放置はしないほうがいいでしょう」

 完治させるなら、全身麻酔による摘出手術となるが、医師はいきなりそこまでする必要はないだろうと言う。のう胞自体は特に悪さをしておらず、バセドー病など、深刻な疾患の疑いも低い。手術は安全だが、ごくまれなケースとして声がかすれる可能性があるので、現時点では経過観察で構わない、と。

 1月の時点でだいぶ硬くなっていた腫れは、組織検査で抜いてもらったおかげで、かなり楽になっていた。

 経過観察は、月1回。まずは診療所で5ccの採血を行い、翌週にその結果を聞きに行く。検査は、「かんたん健康チェック」と呼ばれており、血糖値なども見てもらえるので、健康診断のような気分である。今まで、健康診断はかなりサボっていたし、これで定期的に身体の状態を見てもらえるなら、1回の採血で数千円かかる自己負担も高くはない。血糖値も正常だ。

 2月、3月、4月……。特に悪い数値が出ることもなく、月1回、T先生と世間話をしに行くような気分だった。先生には男の子のお子さんがいて、今電車と新幹線に夢中。先生自身も、最近はすっかり「ママ鉄」なのだとか。

「息子に話せる電車の話題、教えてくださいね」

 だんだん、病院通いが楽しくなってきた。

(つづく)

3:成長ホルモン

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