水木しげる戦記選集「ああ太平洋」

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 Amazonで、水木しげるの戦記漫画選集「ああ太平洋」上下巻(宙出版)を購入した。

 水木しげるの、貸本漫画家時代の戦記漫画のアンソロジー。「ゲゲゲの女房」を見ている人なら、『少年戦記』に収録された漫画の本だと言えばわかるだろう。

 水木しげるの貸本時代の漫画は、怪奇ものは「墓場鬼太郎」をはじめ数冊持っていたが、戦記物は初めてだ。そもそも、水木サンの戦記漫画自体、かの名作『総員玉砕せよ!』と『昭和史』しか読んだことがなかった。

 上下2冊に分かれた大判の単行本には、太平洋戦争の海軍の闘いが、時系列で掲載されている。上巻は、主に太平洋戦争前期で、「山本元帥と連合艦隊」、「印度洋作戦」「珊瑚海海戦」「ミッドウェー海戦」、そして「ツラギ夜戦」などが収録されている。下巻は、日本が敗北への道を歩む大戦後期の物語で、「マリアナ沖海戦」と「レイテ沖海戦」が中心だ。

 ちょうど、今朝ドラで放映しているような、極貧時代に描かれた作品だが、どの作品も、今読んでも素晴らしい。

 この漫画には、「0戦はやと」のようなヒーローは登場しない。下巻におけるマリアナ沖海戦やレイテ海戦などでは、これ以上ないくらいに悲惨な闘いが描かれている。

 しかし、「戦争はいけないことです」といった、説教くさい文言も見られない。南雲忠一中将や栗田健男中将といった実在の提督に対しては、安易な批判をせず、「人間味あふれる名将」として描いている。いきなり、見開きで軍艦マーチの歌詞が掲載されていることすらある。

 にも関わらず、作品全体からは強い反戦のメッセージが貫かれている。ヒーロー系戦記漫画とも、左翼系反戦漫画とも異なる、水木漫画独特の味わいだ。

 鬼太郎でおなじみの「水木絵」とは全く違う、サインペンでスケッチしたかのような絵柄も新鮮だ。重
い絵なのに、擬音語は「どかん」だの「どぶん」だの、妙に軽いのも興味深い。

 「ゲゲゲの女房」を見ている人には、ぜひ読んでもらいたい作品だ。

コメント

  1. ゲゲゲの女房 本 原作

    F-CAST テレビドラマ視聴率速報 ゲゲゲの女房 全視聴率 松下奈緒主演
    布美枝(松下奈緒)はできあがったその本を宣伝するうち、自分が水木しげるの妻であることを美智子(松坂慶子)に知られることに。「少年戦記の会」の失敗以来姿をくらましていた浦木(杉浦太陽)がまたあらわれ、茂は激怒する。 … 何をおいてもゲゲゲの 女房は必ず見ています! どんどん回を重ねるごとに面白くなっているし、今週は夫婦の距離が少し縮まり、ゲゲゲの鬼太郎が世に誕生しそうな展開だったので今後がとても楽しみです♪ 出来るだけ感想…