日本代表チームおめでとうございます。
韓国との世紀の一戦が行われているとき、僕がいた場所。それは、
対馬。
月曜日に、釜山からこちらへ渡ってきた。某新聞社のキャンペーンなどによって、「危ない」などと言われているが、現地でいろいろな人に話を聞いたり、会話に聞き耳を立てると、それが極めて偏った報道であることがわかる。
まあ、今回はその話ではない。
一応取材なので、昼間からテレビを見ているわけにはいかない。ラジオも持っていないし、ワンセグが入るわけもないので、僕の頼りはiPhone(笑)。スポーツナビの速報をちらちら見ながら、市内の撮影を進める。やってきたのは、金石城庭園だ。
事務のおじさんが、庭園内の清掃をしながら、小型ラジカセで中継を聞いていた。
「よしやった! あと一人だよ!」
「ほんとですか! じゃあ、ちょっと聞いていってもいいですか」
「いいとも、聞いて行きなよ!」
そんなやりとりをして、ラジオの横に立った。この試合、僕が初めて中継に耳を傾けた、そのときだ。
秋信守が、9回裏2死から同点タイムリー。
「……」
お邪魔しました、と頭を下げて、ラジオの前を離れた。そして、野球は聞かなかったことにして撮影続行。
対馬藩宗氏の菩提寺、万松院にやってきた。おばさんから入場券を購入しながら、声をかける。
「同点になっちゃいましたね」
「でも、またチャンスみたいですよ。1アウト1塁3塁ですって」
「ほんとですか! じゃあ、ちょっと聞いていってもいいですか」
「どうぞどうぞ」
そんなやりとりをして、再びラジオの横に立った。そのときだ。
川崎ショートフライ。2アウト。
「……」
お邪魔しました、と頭を下げて、ラジオの前を離れた。そして、野球は聞かなかったことにして撮影続行。
iPhoneで、スポーツナビの1球速報に切り替えた。バッターはイチローらしい。ファウルで粘るイチロー。そのときだ。
ソフトバンク3G回線が、圏外。僕はWBCの情報から遮断された。
再び、電波が入った時、スコアはすでに5-3になっていた。
「……」
日本のためにも、僕は中継をチェックしないほうがいいようだ。やはり、僕は「持っている」。