特急「こだま」高速度試験

F019

 鉄道カメラマンの南正時さんから、貴重な映像を見せていただいた。

 昭和34年7月27~31日に東海道本線金谷-焼津間上り線で行われた、151系(後の181系)特急型電車による高速度走行試験の記録映画だ。

 国鉄と電通映画社が制作した作品で、ある場所で人知れず保存されていたという。50年前の制作とは思えない、極めてクリアな映像に驚いた。

 昭和34年といえば、日本国有鉄道の黄金時代。巨額の赤字や労使紛争とも無縁で、国鉄に誇りが満ちていた時代だ。この年の4月、東海道新幹線が着工。新鋭特急車両による高速度試験は、新幹線の実用化に向けたデータ収集の意味もあった。

 上映時間は24分。その内容は、カッコイイの一言だ。特急「こだま」号登場の紹介に始まり、高速度運転への技術的障壁とその克服、最高速度記録達成に向けた車両と軌道の整備。そして、クライマックスの「160-1試験走行」へ。

「発車。時刻16時4分、出発地点、ふたひゃくじゅっキロ415、ノッチオン、電圧1600V」
「速度159、159、160、ただいま速度160! 第一閉塞信号機通過!」

 まるで実況中継しているかのようなナレーションに、痺れた。

 この試験で、国鉄は当時の狭軌鉄道の世界記録、時速163kmを達成した。敗戦からわずか14年後の快挙である。

 さて、この映画、実は3月18日夜に都内で上映会が行われる。今日はその打ち合わせだった。

 日経新聞が主催するSNS「日経WagaMagaラウンジ」に、「旅と鉄道」をテーマとするコミュニティが誕生。それを記念しての上映会だ。当日は南正時氏と種村直樹氏が登場し、恐ろしいことに僕が司会を担当するらしい。

日経WagaMaga
 日経新聞グループが運営する、ライフスタイルにこだわりを持つ「ワガママ」な大人を応援するサービス。「アタマとカラダを刺激する、大人のためのコミュニティー」をキャッチフレーズに、資産運用や旅行、エンタメ、車、趣味など様々な分野の情報を提供している。特にB級グルメの情報に強い。「日経WagaMagaラウンジ」は、日経WagaMagaのサービスのひとつで、ユーザーが感想や意見を書き込んだり、日記を書いて情報発信を行うことができる会員制のコミュニティ(SNS)。会員になるには、既存会員の紹介を受けるか、事務局のアンケートに答える必要がある。

 日経WagaMagaラウンジの会員のみを対象としたイベントだが、会員になれば誰でも参加できる(希望者が50人を超える場合は抽選とのこと)。イベント後も、僕はライターとして記事を書くことになっているので、鉄分に興味のある方はこれを機会にぜひどうぞ。問い合わせは、左のメールフォームからお願いします。

コメント

  1. ききみみ より:

    鉄道については全く何の知識も無い私ですが特急「こだま」の文字を見て反応してしまいました。
    はるか昔、今は亡き父と黒澤明監督の名作「天国と地獄」を見に行ったのですが、特急「こだま」車内で繰り広げられるスピーディーで緊迫感あふれるシーンが当時小学生だった私にもとても衝撃的かつ印象的でした。そのため、特急「こだま」⇔黒澤映画「天国と地獄」という回路が私の頭の中にできあがってしまったのです。そして映画好きだった父のことも懐かしく思い出しました。