【南大門火災】お約束っぽい話

 南大門全焼事件について、お約束っぽい話が出てきている。

 まず、韓国の一部メディアが伝えたという、「放火犯人は日本人の可能性」という情報。

「タクシー運転手が "50代前後の男性が日の丸が入ったショッピング・バッグを持って南大門の階段に上がっていくのを見た"」

 というもの。2ちゃんねるはもちろん、mixiや中央日報のコメント欄でも、この「情報」に言及して、「何でも日本のせいにするな」と韓国を批判する書き込みが見られた。

 しかし、このソース記事が全然見つからない。「ショッピングバッグを持った男性が南大門の階段を上っていくのを見た」という記事はあるが、「日の丸の入った」とはどこにも書かれていない。

 そもそもこの情報、ソースはすべてenjoykoreaの掲示板であり、そこに記された媒体名も「ナッキニュース」とか「CBC」とか、聞いたことのない媒体ばかり。

 どうやら、韓国人ネチズンの「釣り」である線が濃厚だ。2ちゃんねるでも該当の速報スレッドは、早々にデータ落ちした。

 それでも、個人ブログやmixiの日記で「韓国メディアが放火犯は日本人と報道」とした記事は、その多くが残ってしまう。それを読んだ人は、「そういうこともあったのか」と思ってしまうだろう。結果、「韓国で日本人を犯人扱いする記事があった」という話だけが一人歩きする。

 元は、韓国人ネチズンの「釣り」が発端だ。それが、一部の日本人の嫌韓意識を増幅させる。そういえば、日本の一部2ちゃんねらーにも、何か事件が起きるたびに「犯人は在日」だの「チョ×の仕業」だの書き立てる輩がいる。本当に、一部ネチズンと一部2ちゃんねらーは仲がよい。

 もうひとつ、韓国で「南大門が崩れ落ちた日は、日本の建国記念日だったことに、韓国民はさらなる衝撃を受けている」という報道があったという件。

 こちらは、そういう記事があったのは事実である。媒体は、一般的な報道メディアではなく、仏教徒向けのニュースサイト「仏陀ニュース」。

 日本の建国記念日が、南大門炎上とどういう関係があるのかはよくわからないが、日本が国家の誕生を祝する日に、韓国の国を代表する文化財が全焼したことを対比させて、民族感情を刺激しようというものであろう。

 だが、韓国人はこの記事に同意していない。

 記事にはコメント欄があるが、同記事のコメントは、内容に対する批判ばかりである。

「反日に燃える記者のようですね。レベルが低い」
「どういう関係があるのかも書かず、"さらに大きな衝撃"とは、どういうこと?」
「国宝一号が焼失したことも信じられないが、日本の建国記念日と関連づけた記事を作成する記者のセンスには、もっと気がおかしくなりそう」

 まあ、それが普通の反応だよな、と思っていたら、元記事から問題の部分が削除された。

 やれやれ。