バブルへGO!

※予告編と同程度のネタバレがあります。

Af2002

 感想を一言で言えば、バブルを知らない世代が作った、バブル時代をイメージした物語。

 実際には、この映画を作ったのは、当時若者を"トレンディな世界"に煽ったホイチョイプロダクション。バブル文化を知り尽くした人たちだ。

 ホイチョイが作るんだから、もう少しリアリティのあるバブルを描くんだと思っていた。コメディだからと言ってしまえばそれまでだが、あまりにもマンガチックで一面的。バブルは、普通の庶民が1万円札を振りかざしてタクシーを止めていたような時代ではない。

 風景が少ないのも気になる。この映画で描かれるのは、"バブル景気に浮かれる日本"ではなく、ほとんど"1990年の六本木交差点の風景"だ。ていうか、予告編以上の映像はほとんど出てこない。これほど協賛企業が前に出てくる映画も珍しいし、あるいは予算の制約があったのかもしれない。

 船上パーティのシーンも誇張が多く、全体に、フジテレビとホイチョイが、当時の流行をノリで再現してみましたという雰囲気が漂う。今の若い人がバブルをこのまんま受け取ったらどうしよう。

 一方で、役者は良かった。特に阿部寛。あるシーンで、阿部寛の心にちょっとした変化が生じるのだが、そこでの演技は実に自然で面白い。広末涼子の、とても子供がいるとは思えないキュートな演技も良かったし、薬師丸ひろ子の母親役もすっかり板に付いた感じ。もっとも、広末演じる田中真弓は、ちょっとアホすぎるんじゃないかと気になったが……。

 深く考えず、「バブルってありえねー」と笑うのがこの映画の楽しみ方だが、この映画を外国人が見たらどんな感想を持つのか心配になった。例えば、仮にこの映画が韓国作品で、韓国が舞台だったら、日本人の目にどう映るだろうか。

「BOA演じる韓国の女の子が、タイムマシーンに乗ってが1996年のソウルに戻り、通貨危機・IMF事態を回避すべく奮闘する。そして、ラストでは……」

 いかにも一部ネットユーザーが喜びそうな、自尊心丸出しの恥ずかしい映画に見えるのではないだろうか。外国人から、日本人がバブルに戻りたがっていると受け取られないか、心配だ。

 まあ、ラストは皮肉ということだとは思うけど…。

 広末涼子が好きな人や、とりあえず苦笑したい人にお勧め。

 あ、そうそう、作品中には、1990年当時のヒット曲がほんの数曲流れるんだけど、そのうちのひとつが「今すぐKissMe」。僕にとっては、今も懐メロじゃないんだけどなあ。