55捕獲

 最近、デジタルの便利さに頼りすぎて、何も考えずにシャッターを切っているのが気になっていた。何枚でも撮れるし、多少露出に失敗しても後からPCで修正できる。

 そんなことじゃ、いけないはずだ。

 もっと、ワンカットを大事にしないと、上手くならない。
 それなら、久しぶりにフィルムカメラを使ってみよう。

 というわけで、防湿庫の肥やしになりかかっていたニコンFE2を取り出した。

 だが、思うように撮れない。

 要するに、下手なのだ。ピントが出せない。僕はかなりの近眼なので、ここだと思ったところにピントを置いても、どうもピリッとこない。デジタルのカリカリ描写に慣れてしまったせいもある。それに僕にとっての主たる被写体はネコなので、さすがにマニュアルフォーカス機では相当の訓練が必要だ。星野道夫は偉大である。

 そこで、今度は久しぶりにNewEOSkissを取り出した。

 会社員時代に中古で買った、僕にとって初めてのEOSだ。2003年暮れにEOSkissDigitalを導入してからは、ずっと仕舞ってあった。

 だが、久しぶりにフィルムを入れていじってみると、どうも調子がおかしい。

 防湿庫にも入れずほったらかしていたから当たり前なんだけど、ファインダーにクモリが出て、ゴミもでかいのが入っている。タダでさえ見づらいkissのファインダーは、クモリが出たら、使い物にならない。

 じゃあ、3000~5000円くらいで売っているKissの中古を捕獲してくるか……とフジヤカメラに行ってみた。

 その結果がこれだ。

M2012

 いや、左にあるのは、従来からのメイン機種、EOS10Dだ。問題?は、右側にあるカメラ。1995年発売の中級フィルム一眼レフ、EOS55だ。地味だが、必要十分な機能と静粛性を備え、プロのサブ機としても使われてきたEOSシリーズの名機である。

 マップカメラで、だいたい1万5000~1万8000円で売られており、手に合わないと思っていたのだが、フジヤではブラックモデルが並品ながら8000円。傷はあるが、接点の状態や動作は極めて良好だ。財布には、昨日の1万円のポイントカード。

 気がついたら、捕獲していた。

 kissは下取りに出そうかとも思ったが、2000円程度で売り払うより、いつか新型デジタル一眼レフを購入するときに下取りに出せば、5000円くらいになるので、保管しておく。

 早速、EOS55に手持ちのEF50mmF1.8を付け、100円でたたき売られていたコニカミノルタの24枚撮りフィルムを放り込んだ。すこぶる具合がいい。軽いし、かっこいいし、画角も落ち着く。ファインダーも、10Dより見やすい。うちには、フラッシュを含めてEOSのシステムも揃っている。これで、本来の写真撮影をもう一度勉強し直そう。

 さて、そうなると、問題はニコンの存在意義である。機械としては素晴らしいと思うし、持ち歩いているだけでかっこいいような機がしてくるが、実際のところ、今の僕には活躍の場がほとんどない。28mm、50mmの二本のレンズと共に処分すれば、3~4万円にはなるはずだ。それで、EF35mmF2あたりを買ってEOS55に付けた方が、良い写真の勉強になりそうだ。35mmは中古で2万円台前半だから、EOS55の代金もまかなえる。

 防湿庫の容量もあるし、そろそろシステムの整理を考えたほうが良さそうだ。