木曽・奈良井宿の駐車場

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江戸の街道情緒を残す(でも寒い)奈良井宿

 余った青春18きっぷを使って、信州・伊那に行ってきた。

 伊那に住む留学時代からの友人Rに会って、うまくいけば高遠で満開の桜を眺めようという企画だったのだが、

 ……激しくさむい。

 気温、3度。

 天候、晴れ、ときどき吹雪。ところによって黄砂。

 意味が分からない。ていうか、満開の桜どころではない。

 今朝出かけるときに、コートを持って行くかどうか最後まで悩んだのだ。持ってきて良かった。僕の雨男も、ここまで来ると命がけだ。

 Rの最寄り駅で待ち合わせ、車で出発した。彼女が提示した3つのコースから、僕が最初に選んだのは「権兵衛トンネル」。今年2月に開通し、伊那と木曽を初めて直結した南信悲願の?トンネルだ。シブイ。

 高速道路のような立派な権兵衛トンネルを抜け、木曽路・奈良井宿に到着。馬籠などと並ぶ中山道十一宿のひとつで、約1kmの街道に、江戸時代の宿場町が保存されている。

「駐車代500円? 高いなあ」

 Rが言った。奈良井宿の駐車場が、有料500円というのが許せないようだ。どうせ買い物もしないのだし、カンパくらいの気持ちで500円くらい払ってあげようよ……というのは、旅行者の発想らしい。僕が払うから、という申し出を無視して、彼女は駐車場のおじさんに話しかけた。

「この辺全部有料なんですか? 伊那から来たんだけど、どこか無料でとめるとこないかねぇ?」

 地元の人同士ということで、馴れ馴れしく話しかけた方が良いのだそうだ。

 だが、おじさんに駆け引きは通じなかった。

「この辺は、みんな有料だよ。停めるなら、奥の坂の上がたくさん空いてるから」。

 しぶしぶ奥の駐車場まで車を走らせたが、ここにも「500円」の看板が見える。入口まで来て、彼女は引き返した。

「やっぱり、高い」

 再び最初の駐車場付近に戻り、辺りをうかがっている。

「ここにしよう」

 そう言って彼女が車を停めたのは、駐車場の横にある建築会社の駐車場だった。たしかに、週末で人影は見えないけれど、大丈夫だろうか。小心者の旅人は、びくびくしっぱなしである。結局何も問題なかったばかりか、4時すぎに車に戻ると、有料駐車場から係員の姿がすっかり消えていた。あんまり厳密なものではないらしい。

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建築会社の裏は、中央線の旧線跡。ちょっとコーフンした

 夕方、伊那に戻ってから、Rは自分の母親に駐車場の話をした。

「駐車だけで500円も取るんだよ!」

 そんなにひどい話だったのか。観光地で500円というのは、別に高くない気がしたが、それはよそ者の感覚であるようだ。

「教えてあげればよかったわ。駅のほうに行けば、無料で停めるところがたくさんあったのに」

 そこまで把握しているお母さんもすごい。

 でも、東京に戻ってから考えると、確かに500円は高い、という気がしてきた。

 奈良井宿に滞在したのは1時間ちょっと。駐車代が500円ということは、だいたい15分100円ということになる。ふだん都内で生活しているときは、コイン駐車場に「15分100円」とあるのを見て、僕も「高い」と思っているのだ。駅弁を買うときも1000円くらいすぐ出すが、コンビニで1000円の弁当があったらまず買わない。普段の生活モードと、旅行のモードでは、金銭感覚が大きく変わるということだろう。

コメント

  1. 友人R より:

    こら~脚色するなあ~
    読んでいたらただのケチ家族ではないか~
    母が言ったのは
    「教えてあげればよかった。駅のほうに行ったら
     沢山とめるところがあったのに」
    私が駐車場のおじさんには
    「ばかみたい」ではなくて
    「どこか無料でとめるとこないかねえ?」
    田舎の人は何もない山奥で
    駐車場代払いたくないんです。
    南信悲願の権米トンネルって
    脚色しすぎですわあ。
    後半記事楽しみに待っています!

  2. かんりにん より:

    ああ、ごめんごめん。
    実は、なんて言っていたかはっきり覚えていなくて、昨日2時間くらい悩んだのよ。
    めいよに関わりますから、諸々修正しておきます。
    ちなみに、記事の趣旨は最後の部分なんで、そこも厚くしておきました。
    いつも読んでくれている人の話を書くのは難しいね。
    気を悪くされていたら、ごめんなさい(^^)。