吉野家ウォークアップ店舗

 久しぶりに吉野家で豚丼を食べてみた。
 登場直後に食べて以来だが、けっこう味が変わった。ごぼうが入り、タレの味が見直され、豚肉の臭みを前より上手に抑え込んでいる。だが、牛丼のための設備とマニュアルをそのまま豚丼に当てはめましたという印象に変わりはない。豚は、煮るより焼いたほうが旨いと思うのだが。この会社、僕がアルバイトしていたときもそうだったが、「牛丼の味」以外のことは、かなり苦手だ。
 1980年の倒産以来、ずっと模索し続けた「女性客の獲得」。もう誰も覚えていないが、かつて吉野家は「ウォークアップ店舗」と称して、マクドナルドタイプの店舗を展開していた。店に入るとオーダーカウンターがあり、女の子の店員が「いらっしゃいませ、ヨシノヤへようこそ。こちらでお召し上がりですか?」とにこやかに訊いてくる。面食らいながら「あ、じゃあ、並と卵……」と注文すると、店員は注文を復唱し、奥の厨房へ大声でオーダーを告げる。
「レギュラーワン、エッグワン、プリーズ!」
 そんな店が、水道橋や浦和にあったものだ。
 もちろん、今は絶滅している。
 ほかにも、いろいろあったなあ。吉野家USA、築地家、ミニ丼セット、牛角煮丼、パンプキンサラダ、コールスロー…。ひとつでも知っているアナタは、吉野家マニアです。